キューバのコロナ近況 2021.7

前回キューバのコロナ近況について書いた1ヶ月ちょっと前、なかなか減らない感染者を危惧しつつ、ハバナではワクチン接種が進んで少しずつ効果が出てきているんじゃないかと希望的観測をしていた。

が、感染爆発は止まらなかった。

1000人単位で感染者が増え続け、前日の倍増近くというとんでもない勢いの日もあってここ10日間は連日6,000人超え。そして7月21日には前日から1,000人以上増の7,745人!翌日はさらに増えて記録更新。

2021年7月22日23時59分現在の感染状況:新規感染者7,784名(ハバナ1,357名)、現状陽性者37,435名、累計感染者316,383名、累計回復者276,689名、累計死亡者数2,203名

もう全国的に感染拡大しているのだけれど、特に深刻なのがキューバ最大のビーチリゾート、バラデロのあるマタンサス州だ。バラデロは現在でも観光客を受け入れているのだが、例の感染力が強いとされる変異株が海外から持ち込まれ、このマタンサス州から広がったというのがもっぱらの噂。真相はともあれもう爆発しちゃっているのだから、なんとか食い止めないといけないんだろうけれど、これまで以上に市民の生活に直接影響のあるような規制や制限などは今も出されていない。ハバナでも公共交通や公共機関、一般の経済活動は機能している。ただ、もう極力外出は控えて用事がない限りバスにも乗らないけれど・・・

一方でワクチン接種は進んでいる。全国民の20%以上が接種完了。Photo by Cubadebate

加えて先日の7.11事件。キューバではあれが国民による正当な「デモ」であったという言い方は避けるようになって、「7月11日の騒動」といった感じの表現を使うようになっている。事件から数日後は、他にも小さな集会があったりしたようだが、すぐ街にはいつもと変わらぬ風景が戻った。国内のメディアではあの日のことをあれこれ検証したり、海外での報道やSNSで拡散されたフェイクニュースを暴いたりして、国民に「正しいこと」を伝えようとしている。実際にこうした写真や動画も多少は見たけれど、どれがどこまで真実なのかは結局のところよくわからないし、明らかな嘘がたくさんあることも確かで、渦中にいる者としては他人の生活はほっといてよ、と静かで平和な生活を望むのみ。

といっても、キューバはキューバ。日常とはつまり日々の戦いの繰り返し。

買い物するのに行列は必須

今日も朝から買い出しの行列に並び、ご近所さんとコーヒー飲みながら厳しい現実に言ったところで何も解決しない愚痴をたれ、日陰を探して公園wifiでネット繋いでひと仕事、たとえ30分でもと息子を机に向かわせる無駄な努力をしているうちに、チキンとひき肉と卵とソーセージという限られた材料から献立を考え夕食を準備しないと。加えて洗濯機が壊れてしまっているのが、目下我が家で最大の解決すべき問題で、そのためにあらゆる知人友人に「洗濯機なおしてくれる人はいないか?」と電話をかけまくる・・・

あっという間に1日が終わる。毎日家からこんなに素敵な夕日が見られるのがせめてもの救い

キューバ生活は特に何かがなくても、いつもなんだか騒がしい。コロナもデモも心配だけど、今日という日を一人一人が生き抜くために、構っちゃられないこともある。

とはいえ、最低限の感染予防はしないとね。

キューバのコロナ近況 2021.6

キューバのコロナ感染状況はここ数ヶ月ほとんど変わらない。4月ぐらいから毎日の新規感染者数が1,000名を超えるのは当たり前となって、これを下回った日は数えるほどしかなく、1,000〜1,100名ぐらいを見事といっていいくらいキープしていたのだけど、ここ数日百の位の数字が2、3、4と上昇して先日6月14日はついに1,500超え、最高記録を更新してしまった。

2021年6月15日23時59分現在の感染状況:新規感染者1,403名(ハバナ339名)、現状陽性者7,625名、累計感染者161,997名、累計回復者153,189名、累計死亡者数1,118名

一方でワクチン接種は順調に進んでいて、先週までの集計で約200万人が1回接種を終え、合計3,632,080回の接種が行われた。今週からは新たにハバナのいくつかの地区で接種が始まり、18歳以下の子供に対するテスト接種が始まった。私も先週3回目の接種をして無事完了。

今後、デジタルカードも発行できるよう準備中だとか。

感染状況が深刻なハバナはワクチン接種が最も進んでいるが、ここ数日全国の感染者数が増加しているのに対して、少しずつ減少傾向にある。ワクチンの効果が早くも出ているという一方で、ハバナの検査数が減っているから陽性者も少なくなっているだけだという声もあり・・・本当の効果が判明するのはもう少し先かもしれない。何れにしても、ここにきて再度全国の新規感染者数が増加していることだし、まだまだ各自が感染予防策をしっかり取らないと、とわかっていてもやはり規制疲れ、気の緩みは否めない。

ところでハバナのコロナ感染予防のための規制に変わりはない。マスクの着用とソーシャルディスタンスの厳守、レストランなどの店内飲食禁止、博物館・娯楽施設・プール・ビーチなどの閉館閉鎖は継続中ではあるが、公共交通機関は乗車人数を規制しながらも夜間以外は運行しているし、そのほか最低限の経済活動や公共機関の機能は続行している。

そして学校は相変わらずお休みのまま。通常なら6月末には夏休みに入るがこの間に臨時開校する気はなく、このまま8月末までは休校し9月に新学期開始、新学年へは進級せずに現行の学年を来年1月まで続行する措置を取ることが先日発表された。

再び登校できる日はいつになるやら・・・

まだまだ続く毎日が夏休み状態。この生活にすっかり慣れてしまって、どうやって過ごそう、子供に何かさせなきゃなんてとっくに考えなくなってしまった・・・いかんな、緩みすぎ。

キューバ産コロナワクチン体験

5月も中旬となったがキューバのコロナ感染状況は相変わらず、新規感染者は連日1000人超えが当たり前になってしまって、重症者数、死亡者数もここ数ヶ月増加している。やはりすでにキューバ全域で確認されている変異種が原因だろうということだ。

ハバナの状況も一向に良くならないのだけれど、ここまで新たに規制強化することはされていない。国民の生活をこれ以上制限することはしないで、もうここはワクチンで一気に解決、というのが政府の方針のようで、5月になってワクチン接種の対象を一般市民にまで拡大、加速して進められている。

キューバ国産のコロナワクチン候補は5種あり、この中でSoberana2とAbdalaの2つが段階的に最も進んでおり、すでにハバナやサンティアゴなどで高齢者や医療従事者を中心に接種され、5月12日からはハバナの4つの地区で一般への接種が始まった。

キューバ産ワクチン5種。Soberana01, Soberana02, SoberanaPlus, Abdala, Mambisa  photo by Gramna

そして先週の土曜日、早くもキューバ産ワクチンを体験!

医療が無償のキューバ、予防医学にも力を入れているのでもちろんこうしたワクチン接種や健康診断も全て無料で受けることができる。なので、コロナワクチンとはいえ接種会場を探したり、予約の仕方を調べたりとこちらから出向いていかなくても、全ては向こうからやってきた。

1ヶ月ほど前に住んでいる地区の保健省担当者がやってきて個人情報やアレルギーについて質問、それらをノートの切れっ端に手描きで記入して提出。

1週間ほど前に接種日時と場所を記した予約票なるものが届く。

予約票。名前と日付以外は読めない・・・

当日、予約時間に接種会場へ。

会場は子供の通う小学校、ピンクの建物が我が家のあるアパートなのでお隣、徒歩1分!

まずは医師による問診と受付、検温と血圧測定。時間も指定されていたこともあり、10名ぐらいずつがまとめて説明と受付を済ませる。

ほぼ青空教室状態の筒抜け建物が問診場所。ソーシャルディスタンスも取られていつもの行列もなく、思いのほかスムーズ

ここでやっぱり手描きの整理番号を書いた紙切れが渡され、接種する部屋へ移動。

53が整理番号、あとは名前と住所と血圧ということらしい

接種担当の看護師は2名、整理番号順に接種していく。チクリと針の痛みすら感じず全く痛くなかった。キューバで何度か注射を受けたことがあるけれど、痛みが少なくいつも「看護師さん上手だなあ」と思う。

Photo:Eduardo Palomares y Germán Veloz, by Gramna

接種後、接種証明カードを受け取り待合室で1時間待機。小学校の子供用の椅子に座って待つこと1時間、何もなければ最後にもう一度血圧を測り、次回の接種日時を確認して終了。

接種証明カード。次回接種時には忘れずに!

私が受けたAbdalaアブダラは3回接種が必要で14日、28日後にそれぞれ2度目、3度目の接種を受けることになる。今回子供への接種はまだ行われておらず、18歳以上の成人が対象となっている。これまでAbdalaアブダラとSoberana02ソベラナ02の接種が進められているが、現時点で重症化したような副反応があったことは報告されていない。

会場に貼ってあったワクチンAbdalaの説明

ところで4月以降一向に感染者数が減らないのにハバナの規制を強化しないでワクチン接種を優先させているのは、ワクチンの劇的な効果を知らしめたいためなんじゃないかと思っている。こーんなにいた感染者がワクチンのおかげで激減しましたよ、と。

何れにしても、これから全国でワクチン接種が進められ8月には全国民免疫獲得を目指すとのこと。そうして世界に先駆け完全コロナフリー国になれたらそれに越したことはない。

今こそキューバ医学の本領発揮、¡Viva Cuba!

キューバのコロナ近況 2021.4.15

キューバのコロナ感染は今年になってから3度目の大きな波がきて、一向に減少の気配がない。4月になって8日連続新規感染者が1000人以上(キューバの人口は日本のほぼ10分の1)を記録、ハバナはその半数あるいはそれ以上を占め、多い日には600人を超える。

こうした状況を鑑みて1週間ほど前にキューバの大統領がハバナに対して、「何だかの新たな措置、当初とっていたような厳しい対応をしなければならない」というような内容のツイートをした。そのため、皆はすぐにでも新たな感染拡大予防対策が発表されるのではないか、また公共交通機関が止まり、外出禁止時間が延長されるのではないかと様々な憶測が飛び交う中、緊張して朝晩のニュースに注目していたのだが、2日たっても、3日たっても1週間たっても何の発表もされない。何だかちょっと拍子抜けの感で、あの大統領のツイートについてももうみんな忘れかけている・・・・

ハバナは相変わらず、といってももちろんコロナ前の状態ではないけれど、夜間を除いて人は自由に動いているし、店の前にはいつもの行列。

セントロハバナの遊歩道、サンラファエル通りはいつもの賑わい

ただここ数ヶ月子供達が外で遊ぶ姿は見られない。子供の感染が拡大し、先日は初の未成年者の死亡者が出るという悲しいニュースもあったことから子供達は皆、家からほとんど出ない生活を強いられている。ハバナの学校はこの1年で11月に遅れて始まった新年度から2ヶ月だけ開校、あとはずーっとお休み。1日30分1教科ずつのテレビ教室だけでは何の勉強にもならない。勉強はもちろんだけれど、1年間学校活動なしの異常な体験を虐げられている子供達が本当に気の毒でならない。心の方が「病む」よなあ、と心配するのだけれど我が子を見ている限りはそうでもないか・・・

大学は1年全く開講せずにここまできた。オンライン授業ではないけれど、インターネットを使って学生と教授のやりとりで「課題」をこなすシステムができて、3月になってやっと開始されたそうだ。

失われた1年。

これが1年で終わりそうもないから、辛い。

希望はやはりワクチン。キューバは国産ワクチン候補が5種あって、そのうち2種はすでに治験段階とはいえ接種が始まっている。

感染状況が厳しいハバナと東部の3州で開始されており、これまでのところ大きな問題なく順調、ハバナでは5月中に住民半数の100万人接種予定だとか。我が家も先日家族みんなの個人情報、アレルギーの有無などを記載したメモを提出した。いつ順番が回ってくるかはわからないけれど、日本より早くワクチン体験できるかも。

キューバのコロナ近況

2021年2月16日23時59分現在の感染状況:新規感染者824名(ハバナ472名)、現状陽性者5108名、累計感染者40765名、累計回復者35342名、累計死亡者数277名

2月も後半となったが、キューバのコロナウィルス感染状況は一向に改善されない。1月以降、毎日の新規感染者数はぐんぐん増えて全国で1000人を超える日も2度ほどあって、もう700、800という数字にも慣れてしまった。それにしても一定の措置をとっているのになかなか減らないのが気になる。

photo by Granma

全国の感染者数の半数がハバナということもあり、市民は外出禁止や公共交通の運休などもっと厳しい措置をとるべきという声もあるようだけど、今のところは今の予防策を厳守して、特に各自がやるべきことをきちんとやることでなんとか感染拡大を食い止められるはず、と思っている人も多いんじゃないか。その証拠に最近はいつもの「行列」の間隔もしっかり広めにとられ、バスの人員制限も少し前に比べて守られているように思う。子供の感染が拡大したこともあって、街中でも近所の公園でも子供の姿は全く見えないし、我が家にやってくる息子の友達もいなくなった。子供の親に罰金が課されるとの「脅し」も効いているのだろうけど。

国境の水際対策としては、2月6日から空港閉鎖こそないものの全ての入国者に対して指定施設での隔離措置が取られ、入国後5日目のPCR検査が陰性になるまで基本的に外出できないことになった。それ以前に取られていた措置は継続されるので、キューバへ入国する際には入国前72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書の提示、空港でのPCR検査、5日目のPCR検査と1週間ほどの間に3回も検査を受けなければならない。キューバ出国時にも他国へ入国時に陰性証明が必要な場合が多いので、また検査。そうまでして観光でやってくる人っているんだろうか。観光再開への道はまだ遠い・・・

ところで世界的にもワクチンが唯一のコロナ収束の手段として注目され、すでに多くの国で接種が開始されているようだが、キューバでも国産ワクチンの治験が進んでいる。WHOにコロナワクチン候補として認証されている開発中のワクチンが4種あり、すでに最終治験段階に入っているものもある。当初の予定では2月中に接種開始とのことだったが、少し遅れる見通しだ。それでも国内で一般への接種が始まれば、速やかに全ての国民に無料で接種されるだろう。

キューバ産ワクチン候補4種:ソベラーナ01、ソベラーナ02、マンビサ、アブダラ 
photo by Granma, ilustration:Instituro Finlay de Vacunas

ワクチンに関しては、効果や接種時の副反応を懸念する声も聞かれるがキューバではどうか?キューバは独特の医療制度をとり医療レベルが高いことで知られるけれど、何より国民が自国の医療に絶大な信頼を置いていることがこの国の医療の大きな支えになっているんじゃないかと思う。キューバでは、子供からお年寄りまでお医者さんの言うことは「絶対」なのだ。ワクチンについても打たれて当然なので、接種拒否をする人もいないだろうし、早いところ全国民に接種してもらって国内での感染を完全収束することをみんなが待ち望んでいるに違いない。もちろん「自前」のワクチンで。

さあて、いつ頃このキューバ産ワクチン体験できる?!

キューバのコロナウィルス感染予防対策:感染流行期に後退、規制の再強化

先日1月10日にハバナが感染回復期フェーズ3からフェーズ1となって、わずか3日後にハバナを含む8つの州が感染流行期にまで後退してしまった。

毎日の新規感染者数は日々増えて一気に500の大台に乗って、重症者数も急増した。年明けから国際線を制限し、PCR陰性証明提出を義務化したこともあり海外からの入国者自身の感染数は減ってきたが、感染して帰国した人たちの接触者から接触者へと次々に広がっている模様。政府は数日前に出した感染予防のための規制に加えて、学校機関の休校を発表した。

あーーーーーーっ、きてしまった!恐れていた学校の閉鎖。

ハバナではやっと11月に学校が再開して、12月に新年度が始まって年末年始の休暇が明けたところなのに、それもわずか1週間余りで再びの休み。我が家の息子もあまりに長い休みの後の学校生活は思っていた以上に楽しかったらしく、張り切って登校していたのに・・・学校で集団感染の例はないので、予防策をしっかりして休校せずに継続するって言ってたのに・・・

いつもながら素早すぎる政策の変更にがっくりしてしまった。

photo by Cubadebate

公共交通もまた運休となるのではないかとビクビクしていたのだけれど、夜間の停止だけにとどまるようでホッとした。ひとまずハバナ市内を動くことはできる。

WHOによるコロナウィルスのパンデミック宣言がされてから、まもなく1年、キューバ国内で最初の感染が確認されてから10ヶ月、制限された生活と毎日のコロナ報道に世界中の人が疲れてしまって、気が緩んでしまうのも仕方ない。キューバ人たちも罰金だからマスクはしているけど「正しく」していない、バスの定員もきっちり守らない、帰国者がいたらこっそりパーティーしてしまいたくなる気持ちもよくわかる。でもここは気を引き締めていきましょう、というのも最もだ。

それでもいつまで、という出口が見えないのがやはり辛いし、気も緩む。

今度の学校の休校もいつまでなんだか・・・考えるとため息しか出ない。

キューバのコロナによる規制緩和:ハバナ、第1フェーズへ後退

昨年11月15日にハバナ空港が再開して以降、キューバ全国でのコロナウィルス感染拡大が止まらない。12月の累計感染者数はこれまでで群を抜いて多く、年が明けて1月になってから1日の新規感染者数が3桁となる日も珍しくなくなってしまった。そしてここ数日は毎日のように記録更新であっという間に400超え。やはりハバナの感染者数が多いが、地方でも感染者が急増している地域があり全国的に拡大傾向。

photo by : Granma新聞

原因は明らか。海外から帰国したキューバ人が持ち込んだウィルスにより家族や知人友人たちへと感染が広がったもので、ここ15日間の新規感染者の75%ほどが海外からの帰国者およびその濃厚接触者となっている。帰国者も含めてキューバ入国時と入国後5日目にPCR検査を実施し陰性でない限り外出はできないとしているものの、たとえ本人が自宅から出なくても帰国者を大々的に歓迎してフィエスタ=パーティーをしたり、お宅訪問したりするキューバの習慣は変わらない。コロナの影響で長いこと帰国を制限されていた人達も多いだろうから、再会を喜んでハグもキスもするだろうし、自宅でだったらいいんじゃないかと軽く宴会してしまう気持ちも十分にわかる。

でもその結果が明らかに感染者数に出てしまった。

海外から持ち込まれるウィルスを防ぐために1月1日より国際線の減便が発表され、1月10日からは入国者全員にPCR検査陰性証明書の提出を義務とした。そしてついに最近の状況を受けてハバナは1月10日よりこれまでの回復期第3フェースから第1フェースへ後退となってしまった。

夜間のマレコン滞在も禁止に・・・

これによって、

・7:00pm-5:00amに公共の場(公園、マレコンを含む)で停滞することと禁止する。またこれらの場所での飲食サービス、飲酒の禁止。
・9:00pm-5:00amの全ての公共交通機関の運行停止。
・1月12日深夜0時以降のハバナ国境をまたぐ公共交通機関の停止。公共車両、個人車両は検問所でのチェック強化。
・レストランやカフェの営業は7:00pmまでとし、座席数の制限を厳守する。
・映画館、劇場、バー、ナイトクラブ、キャバレー、ディスコ、パーティー会場の閉鎖。
・自宅でのパーティーの制限。
・リモート勤務の推奨。
・空港への家族出迎えは運転手含めて2名のみで行う。
・公園や公共施設でのアクティビティーの停止。
・病院での診察治療は継続するが、緊急を要さない限りは50%に制限する。
・学校施設は休校とはせず、感染予防対策を強化して維持。
・市民に対する公共サービス等は継続。
・図書館、博物館、ギャラリーは開館維持。
・観光関連サービスは継続、ただしハバナ出発の日帰り旅行は除く。
・空港での健康管理シート、滞在先の記入、PCR検査の実施等は継続して実施。

といった措置が実施される。

公共交通機関の全面運行停止と学校の休校がないから、個人的にはこれまでの生活とほとんど変わりない。感染予防対策しながら、行列に並んで食料と生活物資調達、家の掃除に精を出す日々。

今年もキューバで年越し、ゆく年2020

世界中がコロナに翻弄された、あまりに特別な1年が終わろうとしている。

キューバにとっても、コロナの影響で厳しい年だったことは間違いない。アメリカ合衆国の経済封鎖に加えて、物流の制限による輸入品量の減少、国の重要な経済基盤となっている観光業の滞り、そしてもちろん国内でのコロナ感染。世界的にも特殊な医療体制を持つキューバのコロナ対策は、それほど注目されなかったかもしれないけれどその独自の方法で当初の封じこみに成功していたように思う。8月、11月以降と感染再拡大はあったものの他国と比較すると人口比あたりの感染率、死亡率は低く抑えられている。4月以降最初に感染爆発があったイタリア始め、カリブ海諸国、中南米諸国など各国への医師団派遣は今も継続、ワクチン開発も順調に進んでいて、コロナがあった故にキューバの医療が改めて注目された年でもあった。

Henry Reeveヘンリーレベ医師派遣団の出発式の様子 photo: MINSAP保健省、Granma新聞

現状は11月15日にハバナ国際空港が再開して国際線発着便が増加してから新規コロナ感染者数が急増し、12月の月間累計は3月にコロナの国内感染が始まって以降最多となってしまった。世界的にも再度感染が拡大傾向にあることも考慮して、政府は2021年1月1日から、2021年1月1日よりアメリカ合衆国、メキシコ、パナマ、バハマ、ハイチ、ドミニカ共和国からのフライトの減便を発表した。また1月10日より、全ての入国者は出発国において認められている医療機関でキューバ到着前72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書を入国時に提出しなければならないことになった。これらは11月15日の空港再開時より実施されているその他の各種措置に追加して実施されるため、キューバ入国時にもPCR検査を実施し、検査結果が出るまで(48時間以内)は外出を控える等の感染予防対策に従う必要がある。

空港再閉鎖は今のところないようだけれど、コロナ収束へ向けて前進どころか後退・・・

加えてキューバでは2021年1月1日から、通貨統一とそのほか関連する経済政策の実施という近年にない大きな「改革」の年となる。各方面、各事項について詳細が順次発表されているけれど、やってみないとどうなるかわからない、というのが正直なところなんだろう。国の政策がこんなんでいいのかと思うけれど、議論して決定して告知してやってみてダメならすぐに補正可能なのも一党制社会主義のいいところ?!先日発表された新電気代金が高すぎると国民の不満の声が上がったのを受けて、すぐに修正された料金表が発表された。やってみる前からこの調子なので、1月1日以降に混乱しないわけがない。

そんな中でも、キューバ人たちの目下の関心は目の前に迫った年越しのご馳走だ。

年末だけでなくいつも食べてる定番メニューではありますが・・・

ここ数ヶ月めっきり市場で見なくなったキューバ人の好物豚肉、年末のメインは何がなんでも豚の塊なので果てどうするのだろう、と思っていたのだけれど先週あたりから配給所で特別に豚を売り始めた。配給所で、というのがミソなのだけれど国が国民のために平等に各家庭に届くようにと、配給手帳と身分証明書提示で1回のみ豚肉購入可能というシステム採用。我が家も豚肩ロースとバラ肉をドーンと塊で50USD分ほど購入、配給扱いとはいえ決してお安くはないのだけれど、それでも皆なんとか豚肉をゲットしているに違いない。

そして31日の晩はキューバの9割以上の家庭で、豚肉料理+コングリ(黒豆の炊き込みご飯)+ユカ芋という超定番メニューを食べ、ラム酒を飲み、大音響で音楽を鳴らし、おしゃべりに興じながら新年を迎える。

コロナもなんのその、譲れないキューバ人的年越し、2020年も暮れていく。

キューバのコロナによる規制緩和:ハバナ空港再開

ハバナの学校が再開されて1週間、大人たちも含めてやっと日常に近づいたな、と思っていたら週末に熱帯低気圧エタがキューバを縦断、ハバナも週明け9日は休校だった。幸いこの辺りはそれほど荒れることもなかったのだが、中部地方はエタの通過前後に各地で豪雨となって浸水被害で家屋や農耕地に被害が出てしまった。でもいつものように政府主導でしっかり備えがあったので、人的被害はなく早速被災地域の復旧作業が開始されたそう。

中南米はハリケーンエタの通過で大きな被害が出た。その後、勢力が弱まって熱帯低気圧としてキューバへ上陸。

気づけばもう11月も中旬にさしかかる、そろそろハリケーンシーズンも終わり、コロナに翻弄された今年も残すところあと1ヶ月半・・・

そんななか、11月15日0時ハバナ国際空港再開!

先週あたりから、それらしい動きはあったけれど具体的な日付は昨日、11月10日に発表された。キューバでのコロナ感染拡大が始まり3月24日に国境が閉ざされて早8ヶ月近く。すでに他の地域の空港は国際便が発着しているが、やはりハバナの空港が開かないと本当の意味での国境閉鎖解除とはいえない。

それが、やっと!!!

ハバナのホセマルティ国際空港 photo by Cubadebate, Aeropuertos.net

空港は感染予防対策が取られ、海外からの乗客受け入れ準備万端との報道だった。施設面だけでなく予防対策としてフライト利用者=旅行者以外の送迎者などの空港ターミナルへの立ち入り禁止、送迎車両の規制などが行われる。またキューバ入国時に全員のPCR検査を実施、24時間以内に結果通知、長期滞在者は15日後に再度検査して陰性であることが滞在条件となる。そして入国後は政府保健機関が旅行者の健康状態に配慮して、旅行者とキューバ国民すべての人の感染防止に努める。

で、こうした対策・措置をとれば当然コストがかかる。結果、保健管理料?みたいなやつを徴収する予定らしい。空港再開日から実施するらしいが、いくらなのか、旅行者全員なのか、外国人だけか、はたまたキューバ人だけか具体的なことはまだ発表されていない。

今年初めに設置された自動チェックインの機械もやっと役立つ。

新たな日常のためにかかる費用、控え目にお願いしたい・・・

キューバのコロナによる規制緩和:ハバナの学校再開

待ちに待ったこの日が遂にやってきた。

11月2日、学校の再開。

キューバで最初のコロナ感染者が出たのが3月11日。その後国内での感染拡大が始まって国境閉鎖と様々な規制が始まったのが3月24日。あれから7ヶ月ちょっと。途中夏休み期間があったとはいえ、子供達にとっても保護者たちにとっても長すぎる「お休み」がやっと終わり新学期が始まった。

ハバナ市内11月2日朝、登校の様子。Photo:Ismael Francisco, by Cubadebate

本来キューバの新学年は9月に始まる。でも3月末からずーっと感染予防のために学校は閉鎖されていたので、前の学年を修了することができていない。夏休み期間が2ヶ月、試験期間が2週間あるにしても、前学年の丸々2ヶ月半ほどは授業がなかったことになるので、その間の遅れをどうするのか心配していた。ハバナでは7〜8月に感染再拡大があって、学校閉鎖期間が延長されたこともあり当初の予定から二転三転、様々な噂や中途半端な情報が飛び交ったが、結局のところは11月2日から12月4日まで5週間は進級せずに前学年の学習をして、12月7日から晴れて新学年、新入学とすることになった。まあ、それなりの対応をしてくれるらしいのでひと安心。

当然のことだけど学校再開に際してはコロナ感染予防の為、これまでになかった多くの「決まりごと」ができた。登校時間を学年ごとに分けて順次登校とする、給食は食堂に集中しないように1クラスずつ、授業中もマスク着用、朝礼はなし、子供たちは各自石鹸、消毒液、タオル、マスク1日4枚(!)を持参すること、学校内への保護者の立ち入り禁止などなど。

Bolsita de aseo衛生袋と呼bぶ袋に、マスク、石鹸、タオルなどを入れて持っていく

了解、なんでもする。とにかく学校が始まってくれてよかったー!

ウキウキしながら鉛筆を削って教科書とノート準備して、しまってあったリュックを引っ張り出して綺麗に拭いて、遠足の前の日並みに喜ぶ母を横目に「学校イヤー!」と叫ぶ息子。とはいえ、再登校初日の朝は6時にはパっと起き、さっさと制服着替えて登校の準備を始めた。朝食もゆっくりとって、指定された登校時間ぴったりに学校へ。

なんだかんだいって、ちょっとは楽しみにしてたんでしょ?それとも久しぶりすぎて緊張した?ちょっとこわばった笑顔での「行ってきます」だった。

登校時、校門付近で一人ずつ手の消毒をするためにちょっと混雑

ハバナは最近、新規感染者もゼロから一桁で落ち着いており、街の様子も雰囲気も大分以前と変わらないような感じになってきた。これで学校が再開して子供達の制服姿が見られるようになると、「日常」がグッと近くなる。