キューバPCR検査事情

コロナ前までは世界最強日本のパスポートを持っていれば、フライトチケットを手に空港へ行き、出国審査を通過して飛行機に乗れば、世界中ほとんどの国へいつでもお手軽に飛ぶことができた。今では各国の対コロナ出入国条件があれやこれやとあって、出発前の準備がただ事ではない。出たからには戻ってこなければならず、旅先でも帰国前に同じようなことを繰り返すことになる。その中でも多くの国で必須、これがなきゃ飛行機にすら乗せてくれない、というのがPCR検査などによる対コロナ陰性証明。ワクチン接種が進んで一時期はキューバもワクチン完了証明があれば、PCR検査陰性証明は不要となっていたのだけれど、オミクロン登場で世界中の感染者が激増したのを受けて再度入国時の提示が必須となった。

そのPCR検査=コロナ陰性証明、外国人旅行者はハバナのどこで、どうやって受けることができるのかご紹介。

キューバ在住者は居住地区のポリクリニコ(診療所)で受けることが可能。ただし証明書の発行できる機関は限られる。Photo: Ricardo López Hevia, by Granma

まずはホテル滞在者。医療充実国家キューバ、対コロナ対策としてホテルには専門医と看護師チームを常駐させ、観光客の保健衛生管理に従事している。帰国前の検査が必要な場合、この医療チームまたはフロントにその旨を伝えれば、検査日時を予約することができる。検査担当者がホテルまで出向いて検査してくれ、結果もホテルに届けてくれる。

検査のことを考えるとホテルの方が安心、楽チンと思われるけれど、やはりキューバではカサパルティクラルにも滞在して欲しいので、カサ滞在の場合について。カサパル滞在者は保健省の指示だとカサのオーナーが責任を持って宿泊客の検査に対応するとなっているが、結局のところは自分で検査可能なクリニックへ出向いていくことになる。ハバナで外国人観光客の検査をしてくる主な病院は以下の2か所。

ハバナ旧市街からはタクシーを利用して行く

Clínica Internacional Camilo Cienfuegos(カミーロシエンフエゴス国際クリニック)
住所:Calle L No.151 e/Línea y 13, Vedado, La Habana
時間:8:00-18:00(週末を含む)
費用:30USD(Visa, Masterのクレジットカード支払いのみ、現金不可)
ベダード地区の中心、ホテルハバナリブレ23 y LからL通りを下って、突き当たりにある公園に面した病院。便利でわかりやすいので多くの旅行者はここで検査を受ける。72時間前PCR検査に対応。午前中に受けた場合、翌日午後に結果を取りに行く。決まった書式に記入が必要な場合は、受け取り時にやってくれるが説明が必要。

Clínica Internacional Siboney(シボネイ国際クリニック)
住所:Calle 17, No.20005 e/200 y 202, Siboney, Playa, La Habana
時間:PCR/8:30-11:30(週末を含む) 抗原検査/8:30-16:00(月~金)8:30-12:00(週末)
費用:PCR/30USD 抗原検査/25USD(Visa, Masterのクレジットカード支払いのみ、現金不可)
72時間前PCR検査(翌日13:30結果受け取り)のほか、即日結果が出るAntigen test抗原検査も可能。アメリカなど入国条件として24時間以内の検査結果が必要な場合はここで。また20分ほどで結果が出るので、抗原検査でもOKの場合はこちらの方が翌日まで待つ必要はない。ただし観光客がまず行くことがない地区、Playa地区の外れにあり、タクシーでハバナ旧市街から30〜40分かかる。

いずれも外国人の場合パスポートの提示が必要。また支払いはキューバで決済可能なVisaか Masterのクレジットカードでなければならず、現金での支払いは不可。日本で発行されたものなら通常問題ないが、アメリカ発行のものまたアメリカの銀行決済となっているカードは使用できないのでご注意を。またこれらのクリニックは基本的に予約ができないので、朝早く行って順番待ちをしなければならず、「El último!エル・ウルティモ〜」と叫んで行列の最後について待つしかない。一般の診察目的、支払い目的など行列がいくつもある場合があるので、必ずPCR検査の列に並ぶこと。超キューバな体験=行列待ちという旅の想い出ができること間違いなし!?

ところで、キューバのPCR検査事情を最初に知ったのは実際に検査を受けたある外国人に遭遇したからだ。

「支払いはキューバで決済可能なVisaか Masterのクレジットカードでなければならず、現金での支払いは不可。」であるのが仇になってPCR検査を受けられず、予定していた飛行機に搭乗できなかった哀れなアルゼンチン人男性。帰国を2日後に控えPCR検査をしようと上記のベダードにあるクリニックへ出かけて申し込みをして決済しようとしたところ、カードが通らない。何度やってもダメ。だったら現金で払うよ、とドル札目の前に出しても「NO!」すぐにカード会社に電話しても原因不明。真っ青になった彼の知人を介して、外国人でクレジットカードを持っている私にヘルプの電話がかかってきたわけだが、一晩中クリニックに対応してもらえるようメールを打ち続けても返信なく・・・

結局時間オーバーでフライトに間に合わず、彼はブエノスアイレスへ帰国できなかった。ちょうど感染拡大に伴ってフライトの減便されていた時期で、次にチケットが取れて帰国したのはそれから2ヶ月後。かわいそうな彼は職を失い、借りていた部屋の家具やらエアコンやら全部売らなきゃならない羽目になったらしい。ちなみに2ヶ月後のPCR検査は、万が一を考慮して私もクリニックに一緒に行って待機していたのだが、無事カード会社が調整してくれたカードで決済でき翌日の飛行機も飛んで帰国した。 ハバナ滞在の2ヶ月間で彼は嫌がっていた大音響で流れてくるレゲトンの音楽にも慣れ、最初は小声しか出なかった「El último!エル・ウルティモ〜」も大声を張り上げて言えるようになり、行列に横入りする人に向かって反論するまでにキューバ人化していたのだった。

*以上は2022年1月現在の情報です。お国柄これらの状況は何の告知もなく変更されることがあり、昨日はやっていても今日はダメ、ということもあり得ます。最新の情報、また他地域の状況は現地にて必ず時間に余裕を持って確認してください。ホテル滞在者はホテルにて、カサ滞在者はカサのオーナーや管理者に尋ねましょう。

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