今年もキューバで年越し、ゆく年2020

世界中がコロナに翻弄された、あまりに特別な1年が終わろうとしている。

キューバにとっても、コロナの影響で厳しい年だったことは間違いない。アメリカ合衆国の経済封鎖に加えて、物流の制限による輸入品量の減少、国の重要な経済基盤となっている観光業の滞り、そしてもちろん国内でのコロナ感染。世界的にも特殊な医療体制を持つキューバのコロナ対策は、それほど注目されなかったかもしれないけれどその独自の方法で当初の封じこみに成功していたように思う。8月、11月以降と感染再拡大はあったものの他国と比較すると人口比あたりの感染率、死亡率は低く抑えられている。4月以降最初に感染爆発があったイタリア始め、カリブ海諸国、中南米諸国など各国への医師団派遣は今も継続、ワクチン開発も順調に進んでいて、コロナがあった故にキューバの医療が改めて注目された年でもあった。

Henry Reeveヘンリーレベ医師派遣団の出発式の様子 photo: MINSAP保健省、Granma新聞

現状は11月15日にハバナ国際空港が再開して国際線発着便が増加してから新規コロナ感染者数が急増し、12月の月間累計は3月にコロナの国内感染が始まって以降最多となってしまった。世界的にも再度感染が拡大傾向にあることも考慮して、政府は2021年1月1日から、2021年1月1日よりアメリカ合衆国、メキシコ、パナマ、バハマ、ハイチ、ドミニカ共和国からのフライトの減便を発表した。また1月10日より、全ての入国者は出発国において認められている医療機関でキューバ到着前72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書を入国時に提出しなければならないことになった。これらは11月15日の空港再開時より実施されているその他の各種措置に追加して実施されるため、キューバ入国時にもPCR検査を実施し、検査結果が出るまで(48時間以内)は外出を控える等の感染予防対策に従う必要がある。

空港再閉鎖は今のところないようだけれど、コロナ収束へ向けて前進どころか後退・・・

加えてキューバでは2021年1月1日から、通貨統一とそのほか関連する経済政策の実施という近年にない大きな「改革」の年となる。各方面、各事項について詳細が順次発表されているけれど、やってみないとどうなるかわからない、というのが正直なところなんだろう。国の政策がこんなんでいいのかと思うけれど、議論して決定して告知してやってみてダメならすぐに補正可能なのも一党制社会主義のいいところ?!先日発表された新電気代金が高すぎると国民の不満の声が上がったのを受けて、すぐに修正された料金表が発表された。やってみる前からこの調子なので、1月1日以降に混乱しないわけがない。

そんな中でも、キューバ人たちの目下の関心は目の前に迫った年越しのご馳走だ。

年末だけでなくいつも食べてる定番メニューではありますが・・・

ここ数ヶ月めっきり市場で見なくなったキューバ人の好物豚肉、年末のメインは何がなんでも豚の塊なので果てどうするのだろう、と思っていたのだけれど先週あたりから配給所で特別に豚を売り始めた。配給所で、というのがミソなのだけれど国が国民のために平等に各家庭に届くようにと、配給手帳と身分証明書提示で1回のみ豚肉購入可能というシステム採用。我が家も豚肩ロースとバラ肉をドーンと塊で50USD分ほど購入、配給扱いとはいえ決してお安くはないのだけれど、それでも皆なんとか豚肉をゲットしているに違いない。

そして31日の晩はキューバの9割以上の家庭で、豚肉料理+コングリ(黒豆の炊き込みご飯)+ユカ芋という超定番メニューを食べ、ラム酒を飲み、大音響で音楽を鳴らし、おしゃべりに興じながら新年を迎える。

コロナもなんのその、譲れないキューバ人的年越し、2020年も暮れていく。

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