なんてったってハバナ

海外からキューバを訪れる場合、そのほとんどがまずハバナへ到着する。だから多くの人にとって初めて目にするキューバの都市がハバナ、この街の印象がこの国の第一印象となる。

初めてキューバを訪れたのは、2005年5月。雨季の始まりの5月は雨が多いが、ハバナの空港へ降り立った時もどんよりとした曇り空だった記憶がある。タクシーの中から見るハバナの街はその鼠色の重い空の色と同じようにあまり色がなく、スローガンの看板が目につき社会主義国を感じさせた。

「¡ Viva Fidel ! 」

「Vamos bien…」

他の街に見られる華やかな看板やネオンのかわりにスローガン

この最初の滞在はまったくの観光だったのだけど、あまり観光気分だった記憶がない。今ほど旅行者も多くなくカラフルなクラシックカーが目立たなかったせいもあるし、いわゆる観光スポットへあまり行かなかったからかもしれない。公共交通は全然わからないし、タクシーもそれほど多くない上に高いので、ハバナ市内のほとんどを徒歩で移動した。滞在先のハバナ大学近くのカサから革命広場、旧市街、ミラマルのカサ・デ・ラ・ムシカまで。今思うと、ものすごい距離を歩いている。5月末といえばもうすっかり夏の日差し、汗だくになりながら、ひたすら歩いた。おかげで街の大きさ、高低差、地区ごとの街並みや雰囲気の違い、海沿いのマレコンの長さ、ハバナを丸ごと実感でき、今でもあの時の感覚がハバナの街を歩く時の基準となっていることすらある。どこまでいってもあまり変わらないコロニアルでくすんだ色の古い建物、雨上がりの水溜りだらけの道路、シャッターの閉まった店、上半身裸の男性、頭にカーラー巻いてストッキングかぶった女性、道で遊ぶ子供たち、痩せこけた犬、そしてあちこちから聞こえてくる音楽・・・これが最初のハバナだった。

2005年のカピトリオ、化粧直し前
セントロハバナのあたり。この道もなんども往復した

それから、ハバナは帰ってくるところ、になった。

ここ15年で個人経営の店やレストランは増え、旧市街には新しいホテルが次々にオープンし、クラッシックオープンカーが観光客を乗せてマレコンを走るようになったけれど、あの時と同じように街を歩いてみると、目にする景色も人々の暮らしぶりもそれほど変わらない。今でもハバナの街を歩くのが大好きだ。いつも混んでいるバスを待つより歩いた方が早いということもあるけれど、ひとりの時はまず歩く。時には少し遠回りしてマレコンも歩く。なんといってもマレコン沿いのハバナの街並みが一番だと思う。この景色を見る度に、かつて住んでいた鴨川沿いの京都の街並みを想い出す。街を少し離れて帰ってきたときに、鴨川沿いを自転車で走ると「あー帰ってきたなあ」といつも思っていた。今、どこかからハバナへ帰ってきてマレコン沿いを行くと、やっぱり同じように「帰ってきた」と感じる。どちらも自分が暮らす街のとっておきの景色。

はじめてのマレコンは、こんな曇り空のした、霞んで見えるハバナの街並みもよい

ハバナはやっぱり歩いてなんぼの街だ。旅行者の方にも歩いて歩き回って、見て、聞いて、感じてそれぞれのとびきりのハバナを切り取って帰ってもらいたい。

キューバのコロナウィルス感染予防対策:公共交通の運行中止

キューバもいよいよ本格的に外出禁止状態になりそうだ。「禁止令」は発令しないものの、明日4月11日よりすべての公共交通の運行がなくなる。乗用車を持つ人が極めて少ないこの国では、公共交通での移動手段がなくなること=外出できない、に近い。車を持っていても不必要な移動はできないだろうし、おそらく今後は路上での警察の取り締まりが強化されるだろう。生活に必要な食料や物資は、各地区の配給所や国営店舗へ入荷され、各家庭の代表者1名がそれを買いに行く形にするとのこと。

ああー、本格的隔離!

今、コロナの影響で自宅にあるいは施設に隔離状態にある人たち、それに近い人たちが世界中にいる。多くの人が室内にこもっている、この慣れない状況にどう向き合ったらいいのか?

以下、新聞で見つけたブラジル人作家でジャーナリストであるFrei Betto(フレイ・ベット本名:カルロス・アルベルト・リバニオ・クリスト、フィデル・カストロとも親しかったらしい)による記事。彼はリオネジャネイロで4年間の収監経験があり、その経験をもとに今回のコロナウィルスによる孤立、隔離状態に立ち向かうための10の忠告をしている。

  1. 肉体と精神を一緒に保つこと:身体は家に置いておくしかないのに、心が外の世界へと向いてしまったら、絶望を引き起こすだけ。
  2. 毎日のルーティーンを決めること:病気でもないのに、1日中パジャマでいてはいけない。手帳に毎日の活動をつける。体操、呼吸器官を鍛えるためにもエアロビクスがいい。読書、クローゼットの整理、家の掃除、料理、インターネット検索などなど。
  3. 1日中テレビやコンピュータといないこと:活動にバラエティーを持たせる。
  4. 親戚や友達に電話すること:特に遠く離れたところにいる人、弱者、一人暮らしの人へ。
  5. 手仕事をすること:機械の修理、ジグゾーパズル、縫い物、調理などなど。
  6. ゲームをして楽しむこと:同居する人がいるのであれば、1日のひと時をチェス、チェッカー、トランプなどをして過ごす。
  7. 隔離日記をつけること:紙にでも、コンピュータにでもいいから考えていること、感じていることを文章にすることは、この上ないセラピーとなる。
  8. 子供や他の大人がいるのなら、家事を分担すること:活動プログラムを作って、一緒に過ごす時間、互いに自由な時間を持つ。
  9. 瞑想すること:あなたが宗教信者ではなくても、瞑想することを学ぶといい。瞑想することで、心が浄化され、想像力が高まり、不安が消え、緊張が和らぐ。1日に少なくとも30分は瞑想に当てるべき。
  10. このパンデミアがすぐに終息するか、それとも何ヶ月も続くのかと考えないこと:この先ずっと隔離生活が続く覚悟で振舞う。自分の家の中で、この長い旅への準備を整えること。(4月6日付グランマ誌より)

早速ではないけれど、久しぶりに家族でドミノをした。

遊び方はいたって簡単。子供も一緒に。

キューバで家族や友達同士が集まって過ごす時間に、必ずと言っていいほど登場するのがこのドミノ。上の助言では、チェスやチェッカー、トランプとあるけど、キューバならやはりドミノだ。先日、コロナ対策で外出を自粛しているにも関わらず、路上でドミノをする市民に対して、大統領が激怒していたけれど、普段の週末だったら、テーブルを路上に持ち出して、上半身裸の男たちがドミノをして楽しむ姿があちこちで見られるはず。でもこの光景もしばらくはおあずけ・・・室内ドミノで盛り上がりましょ。

コロナで緊急配給! 石鹸、歯磨き粉、洗剤

社会主義国キューバには、配給制度がある。1959年のキューバ革命勝利後、国民に均等に食料や生活必需品が渡るようにと始まったものが、配給内容やその量は時代とともに変わったものの今でも制度としてあり続けている。家族ごとに1年に1冊配給手帳を配布、これに従って月ごと、あるいは日ごとに配給されるものがあり、近所の配給所でそれらを格安で手に入れることができる。配給といっても無料ではなく、わずかではあるがいくらか支払う必要はある。

我が家の配給手帳。
中はこんな感じ。月ごとの配給品をチェック

最近ではそのほとんどが食料品で、毎月きまって一定量配給されるのは米、豆類、サラダ油、そして砂糖など。砂糖は今でもキューバの主要産業のひとつであるが、何もかも不足している中、砂糖だけは余っている国だけあって配給もたっぷり。ご丁寧に白砂糖と少し茶色い三温糖タイプの2種類をひとり当たり2キロ少々、子供の同量なので我が家は3人で月々6キロ以上の砂糖が手に入る。そのほかのものは先に挙げた通り品数も少ないし、一般的な家庭の1ヶ月分としては不十分な量しかもらえないのだけど・・・肉類は不定期で鶏肉やハムが少々、魚類はダイエット食として医師の処方のある人のみ、卵はある時には月々15個/人ぐらい、大人はコーヒー1パック、子供は粉ミルクといった具合。それから1日1個のパンがあるが、これは毎日パン屋へ取りに行く必要があり、翌日に取り置きは不可。こうした配給品だけではとても毎日の食事を賄えないし、野菜や肉はそのほかの店や市場で購入することになる。

配給にもその時の事情によって、緊急で特別なものを配給されることがごく稀にある。もう10年以上前になるが全国の女性に電気圧力鍋が配給されたり、中国製の冷蔵庫が配給されたりしたことがあった。配給されるのは同じ商品だからどの家庭にも同じものがあり、上記2点は今でも多くの家庭で必ずといっていいほど見られる製品。店頭にある品物もそうだけれど、各商品、製品の種類が少なくてどこへいっても同じというのを見ると、ザ・社会主義を感じる。まあ、これは社会主義だからというだけでなく、アメリカによる経済封鎖の影響が大きいのだけど・・・。

で、今回コロナウィルスに関連して緊急配給されることになったものたち。

石鹸、歯磨き粉、台所洗剤

感染予防のためには何といっても、手洗い。

だから、衛生商品。

我が家にきたコロナ対応特別配給品、歯磨き粉はうちの配給所にはまだ届いておらず、石鹸と洗剤のみ。

今回に限らずいつも必要だけどね。ちょっと前にはこれらのものがキューバ中で不足していてたいへんだったという事情があるからかもしれないけれど、まあとりあえず、ありがたくいただきます。

キューバでマスクは何という?

コロナウィルス感染予防対策として外出時のマスク着用が徹底され、今では街ゆく人の9割以上がマスクをしている。正直、全く習慣のないキューバで、こんなに早く定着するとは思っていなかった。増産中のマスクは医療関係者とお年寄り、子供達など生活弱者にまず届くようになっていて、まだ一般用に店ではそれほど売っていないのだが、あっという間に皆、何だかの方法で入手している。我が家にもキューバで一番ポピュラーな緑のマスクがやってきた。

ナソブーコ。キューバのマスク、手作り感満載

ところで、今回のことがあるまでキューバでマスクを何と呼ぶのか知らなかった。

Nasobuco(ナソブーコ)=マスク

スペイン語で一般的にはMascarilla(マスカリージャ)のはずだけれど、果たして他のスペイン語圏ではどうだろう?他にもマスクを表す単語はあるのだろうか?

このナソブーコの他に最近のニュースでよく耳にして覚えたスペイン語は、Cuarentena(クアレンテーナ)。Cuarenta(クアレンタ)が40だから、40 と関連するものと思ったら全く違う意味もあると知った。

Cuarentena(クアレンテーナ)=隔離

特に病気の伝染などを予防するための隔離、まさに今回のような場合にはこの単語を使うそう。

スペイン語が話される国、地域は多いが、それぞれ話し方やよく使う単語に違いがあってそれが面白かったりするのだが、キューバのスペイン語は中南米地域の中でも、極めて特徴的であるように思う。キューバ語といえる独特の表現が多くある上、話し方も単語を続けて話したり、発音しない音がたくさんあったりするので、非常に聞き取りにくい。でもキューバ風の言い回しを少しでも使って、キューバ人と会話すると相手がグッと寄ってきてその距離が縮まる気がする。

キューバ人と会話するのも、彼らが話しているのを聞くのも大好きなのに、今はほとんど外に出ることもなく、話す相手は家族ぐらい。TVのニュースをいつも以上に見るから、アナウンサーの言うことはよく聞き取れるようになった気がするけど・・・違う!大振りなアクション付きで唾をペッペと飛ばしながら、道端で会話するキューバ人の姿を1日も早くみたいもの。もちろんマスクなしでね。

Hipoclorito(イポクロリート)消毒液、我が家の玄関にも登場

キューバで知る 三船敏郎誕生100年

コロナ関連のニュースばかりが目につく中、新聞記事にSamuraiの文字を見つけた。タイトルにはLos cien años del samurái(サムライの100年)、何の記事だろうと読んでみると、4月1日が俳優三船敏郎の誕生100年だという。キューバでもよく知られた黒澤明監督と組んで多くの映画に出演し、作品を通してサムライ像を見事に表現したことを賞賛していた。

キューバ人は映画好きだ。男性に限らずお涙ちょうだいもののドラマや実話ベースのドキュメンタリーっぽいものよりも、アクションやアドベンチャーものの方が好まれる。キューバの直面する現実社会が何かと厳しくドラマチックなことが多いから、映画を見ているときぐらいは現実逃避できたほうがいじゃないか、だからアクションの方がいいよ、と誰かが話してくれたことがある。それはさておき年配の方だと「クロサワ作品は大好きだ」と言う人も多いし、日本映画として知られているのは『7人の侍』や『座頭市』だ。

グランマ誌のデジタル版では『7人の侍』の写真とともに記事が出ていた

残念ながら私は黒澤作品をちゃんと見たことないし、三船敏郎も晩年TVで対談番組などに出演しているのを見た記憶があるぐらいだ。ましてや誕生日は知らない・・・で、早速ネット検索してみるとWikipediaには読みきれないほどの記載があり、中には「チェ・ゲバラは『用心棒』に感銘を受け、桑畑三十郎の恰好までするほどのファンであった。(三好徹『チェ・ゲバラ伝』原書房)」なんていう記事まで。へええええ、だ。そして誕生日は確かに1920 年4月1日で今年がちょうど誕生100年、こんな形でしかもキューバで三船敏郎について多くを知ることになろうとは・・・!

ところでハバナには市民にもよく知られているサムライ像がある。ハバナ湾を挟んでカバーニャ要塞の向かい旧市街側にある「支倉常長像」だ。その名前までは知らずとも、それがキューバに初めて来た日本のサムライであることは、多くの人が知っている。

ハバナの支倉常長像。旧市街散策中に立ち寄ることも可能

でもキューバ人が描くサムライ像は、やはり黒澤作品に出てくる三船敏郎演じるサムライ何だろうなあ。

キューバのコロナウィルス感染予防対策:医療

キューバの医療体制は独特であることは、世界的にもよく知られている。医療レベルや質は抜きにしてとにかく医師、医療従事者の数は多く、保健省を頂点に全国をカバーする医療機関、関連施設が組織的に整っていることは確かだ。コロナウィルスへの対応と国民の反応を見ていると、国民がこの医療体制や医者をとても信頼しているのだなと思う。これはこれまでも感じていたことだけれど、「お医者さん」のいうことは本当にみんなよく聞く。今回もそうだ。

コロナに限らず、感染病予防対策として徹底的に患者を隔離する。特に子供に対しては発熱と下痢があると即入院、うちの息子もすでに2回経験済み、普段はデング熱などが疑われての措置である。今回の場合、3月11日に最初の発症例が出てから感染者と接触した人全員、24日以降は海外からの帰国者全員対象に隔離施設で14日間過ごすことを強制され、その間にすべての人が検査を受けることになっている。発症していればもちろん入院して治療を受ける。隔離施設には病院のほか、都市郊外にある宿泊施設や保養施設が使われているらしいけれど、これらすべて国営なので有無を言わさず転用可能、この辺りはウダウダもめることなくてよろしい。

それから医学生たちの家庭訪問。各地域で医学生たちが家庭を1件1件「発熱者はいないか」「呼吸が困難な症状の人はいないか」と質問して周り、感染の早期発見に努める。これはデング熱などが流行った時にも流行地域で行われるのだけど、今回は全国でほぼ毎日実施されているそう。

玄関口で家族の健康状態を質問、その後地域診療所へ報告する。グランマ誌より

キューバ国内だけではない。人道支援としてキューバの海外への医師派遣は有名だけれど、今回も要請を受けてすでにイタリアやスペインだけでなく、周辺のカリブ海の小さな島々などへ598名14の医師団が派遣されている(3月31日現在)。

派遣団の出発式の様子。ここ数日毎日のように何処かの国へ。グランマ誌より

こうした人々のために尽くすキューバの医師、そしてコロナと戦う世界中の人々へ尊敬と感謝の意を込めて、夜9時にキューバ中の人々が拍手贈る、というのが始まった。29日の夜に決行、と誰かがSNSで呼びかけたらしいけれど、TVのニュースでも取り上げられ翌日以降も夜のニュース番組が終わるときには、「あと数分で9時です、現場で戦う彼らに拍手を!」とアナウンス、そしてその数分後に各家庭から大きな拍手が聞こえてくる。ハバナの夜9時といえばカバーニャ要塞のカニョナッソ(大砲の儀式)が有名だけど、その大砲の音に負けないくらいの大きな拍手がハバナの街中から湧き上がる・・・

午後9時、みんなベランダに出て、窓辺で大きな拍手を。コロナと戦う人たちに届くように・・・Facebook掲載

色々な場面で感じるけれど、このキューバ人の一体感が好きだ。

キューバのコロナウィルス感染予防対策:全国の学校閉鎖

コロナウィルス感染予防対策で、全国の小中学校、高校、大学ほか全ての教育機関は約1ヶ月の休校となった。通常4月には1週間の春休みがあるので、これを除くと約3週間。子供達にとっては思うがけない休暇。初日、2日目あたりは、街中をうろつく子供やビーチへ行く若者も目についたらしく、「ありえない!」と親や周辺の大人の責任を問う怒りのコメントが相次ぎニュースでも報道されたりしたので、めっきり子供の姿を見かけなくなった。ここ数日は、子供連れで買い物していてもパトロールの警察官に声かけられて、なんなら強制送還、家まで送ってくれるらしい。我が家の団地の店や公園でも子供たちはいない。でもみんな退屈だよね、エネルギーあまりまくっちゃうよね・・・

ところで5月〜6月には大学受験も含め試験の季節、その直前の休みは学生たちにとっても影響大ということで、3月30日から全国のすべての学年の児童生徒向けに「テレビ授業」が開始された。うちの4年生の息子も家で何をするわけもなく退屈し放題、かといって自習する習慣もないから、家でダラダラと過ごしているは非常によろしくないと思っていたのでこの「テレビ授業」に期待しているのだけど、果て?

午後2時、息子と一緒にTVに向かう。初日の4年生向けの授業は「El mundo en que vivimos」直訳すると「私たちの生きる世界」、日本では小学校低学年で「生活」中高学年で「社会」「理科」それから「保健」として教えられているような内容を合わせた教科だ。

年配の女性教師がTVの向こうにいる子供たちに向かって授業を開始。

全国の小学4年生が聞いているはず・・・

最初は現在最も重要事項、コロナウィルス感染予防について。それから同じ病気つながりで、コロナですっかり忘れられているデング熱予防や蚊を介する病気についても説明。

1.病人との接触を避ける 2. 手を洗う 3.顔を触らない
コロナだけじゃないけどね。いろんな病気の予防対策。

後半は私たちの住む地球、その地球上にある世界の中でキューバの位置、キューバ内にある州、自分が住んでいる地域、と社会科=地理についてサラッと・・・30分弱で終了。

キューバはどこにある?地理の授業。

「これだけ?」

と息子も言うほどあっという間に終わってしまった。で、本日この1教科のみ。なんだかなあ、これで休みの間の遅れはカバーできないよなあ。

2020年3月23日キューバ政府発表 Covid-19感染予防政策

1週間前になってしまうが、キューバ政府が発表したコロナウィルス対策の内容は以下の通り。日々変わる状況の中で、以下の内容は各関連省庁により内容が更新され、追加、具体的な政策が都度示されている。

3月30日現在キューバのコロナウィルス感染者数は139名(死亡3名)、感染の疑いがあるとして入院隔離中の患者は600名以上。キューバの場合、海外からの帰国者や症状がなくても濃厚接触した者は14日間隔離され、一定期間後これらすべての人に対して検査を実施し、陽性陰性の判明するようにしている。そのため陽性反応があり入院中でも、全く症状のない患者もいるそう。

やはり徹底した検査と各自の予防対策=外出を控えるが必要。

Quédate en casa. (家にいなさい)

  1. すべてのキューバ住民は、キューバ入国後14日間の隔離措置とする。
  2. キューバに到着する旅行者に対しては十分な情報を提供すること、滞在地や荷物の除菌をすること。旅行者は特定の交通手段で警察の誘導を受け、直接隔離センターへ移動する。
  3. 空港での家族の出迎えは禁止する。
  4. キューバへ到着する乗客は、空港手続きと隔離センターでの手配煩雑を軽減するため、預け荷物と手荷物それぞれ1個のみの携帯を許可する。
  5. キューバ人の出国は本人と家族の健康管理を考慮して制限され、人道支援やそれに相当する理由がある場合に限る。
  6. 未だホテルに滞在する観光客についても隔離措置をとり、外出を禁止する。また同時にカサパルティクラルに滞在する者は、観光センターへ移動する。
  7. 各地方、歴史、文化、自然名勝地へのツアー、および観光客用のレンタカーは中止する。
  8. これらの入国管理措置の発表以前、今週月曜(23日)以前に到着した者についても、各家庭で自主隔離する。この場合、彼らを地域社会に取り込んでこうした措置について十分に説明し、家族の責任のもとで健康状態の監視をすること。
  9. 隔離地域への立ち入りは厳重に禁止する。
  10. 家庭、施設にいる高齢者、特に一人暮らしの高齢者に対して十分な注意を払うこと。
  11. 通常販売につとめ、行列を避け、食料等の宅配サービスを推奨する。
  12. 地方間のバス、列車、飛行機の国営・民営交通機関を中止する。地域内の交通機関については要検討。
  13. これらの措置を実施するに当たって、都市内の警察による統制強化はやむをえない。
  14. ディスコ、プール、ジムを閉鎖し、またホテルでのレクリエーションを制限する。これらは国営民営の施設を問わない。
  15. バーやレストランの営業は制限される。客同士の距離は1m以上を維持し、それができない場合は営業停止もやむを得ない。
  16. 食料品の生産を強化し、現状を考慮して需要の少ない製品については停止し生産過程における人員削減を実施する。
  17. 地域組織や地方政府組織により各家庭の訪問を実施して十分な情報提供を行い、これらの措置の徹底し、それが行われない場合の対処をする。
  18. なんだかの症状が出た者は相当の施設へ出向くか、または医師の監視のもとに自宅にとどまること。
  19. 一時的に学校の本年度コースを停止する。
  20. 3週間の授業停止。状況が許せば4月20日から再開する。
  21. 伝染病の監視下、保育園については引き続き開園するが、子供を預けるかどうかは親の決定による。
  22. 入園許可の譲渡と適応期間の預けについては延期する。
  23. 家族の援助ない子供については、通常の預け先家庭に留まること。
  24. 3月30日よりTVにて教育番組の放映を行い、家庭学習の方向づけを実施する。
  25. 寄宿舎にいる学生は、直ちに帰省すること。
  26. 教員は授業の再開に向けて準備をすること。大学院生は各自の研究を進めること。
  27. 帰省先から戻る際の集中を回避するため、授業再開は段階を追って随時行う。
  28. すべての教育機関における事前コース、事後コース、昼間夜間、高等教育等含め、あらゆる教育活動を中止する。
  29. 寄宿舎に滞在できるのは、外国人留学生のみとする。
  30. ホテルにおける旅行者および労働者の医療的監視を強化する。
  31. 国民の医療的監視を強化する。
  32. 医療機関における手術を延期し、患者の生死を分けるような移植や癌、そのほか緊急手術のみの対応とする。
  33. 地域における医療機関外で可能な診察や、関連する内容の同時診察などを再考する。
  34. 病院への見舞いと付き添い者の禁止。
  35. 医薬品の処方箋の期限および医療ダイエット食品配給保証期間を6ヶ月延長する。
  36. 再就職の場は、当該地域のいかなる職種ともなりうる。
  37. 小学校、特別支援学校に通う子どもがいる母親の一時的休職に対しては、既存の政策に準じて行う:最初の1ヶ月は給与全額支給、2ヶ月目以降は60%支給を保証する。
  38. 裁判関連の事務所におけるすべての手続きを更新する。
  39. すべての納税者の税金および銀行機関への支払い義務を延期する。またこれらを携帯アプリによる送金やそのほかの電子送金を利用できるものとする。
  40. 自営業者の税務署への月額支払いを各々の被害状況に応じて減額を適応する。

(3月24日付グランマ誌参考)

キューバのコロナウィルス感染予防対策:マスクと手洗い

キューバでもコロナウィルス感染予防対策として推奨されているのは、マスクと手洗い。

もともとマスクをする習慣はないし、通常見かけるのは病院でドクターや看護師がしている緑のマスク。コロナ感染が心配されるようになってから、まず空港職員がみんなこの緑のマスクをするようになり「キューバではマスクといえば緑?!」と思っていたが、ここ数週間で、街中で一般市民のマスク着用が目立つようになると、色々なマスクを目にするようになった。日本でおなじみの使い捨てタイプ、工場で使う防塵用、即席ハンカチやバンダナ巻くだけ・・・

ハバナ市内で。( Image by Granma)

でも基本は布製、鼻と口を覆う程度の四角い布の両側に2本ずつ4本の紐が付いた頭の後ろで縛って固定するタイプ。コロナ予防用にこれが全国各地の縫製工場で増産されているらしい。それでもやはり不足するので、個人的に家庭で作って近所の施設や保育所に配っているというおばあさんが、ニュースになったりもしている。国を挙げて勧めるからには、ということで大統領や官僚たちもマスク着用で会議や会見に出る様子がTVで放映される。ということで、かなりの確率でハバナの街中ではマスク着用者が増えている模様。

マスクただいま増産中(Image by Granma)

各家庭や職場での手洗い推奨のほか、公共の場やレストラン、店舗へ入場時に手の消毒を強制されるようになった。入り口で消毒液(漂白剤を薄めたもの)が入ったペットボトルが置いてあり、これを各自が手に垂らしてパパッと消毒する。市販のボトルに入ったものでないところがキューバっぽい。これが薄めてあるとはいえ結構強い液体なのか、消毒後手のひらがちょっと赤くなって匂いもツンとキツイ。肌の弱い人や子供には無理だな。

ところで今回コロナウィルス予防対策として、様々なところで消毒液として使われる Cloro(漂白剤)が、配給所で緊急販売(1CUP= 約4円/1リットル)されることになったそう。掃除でも洗濯でも漂白剤大好きなキューバ人には嬉しい計らい。この漂白剤を求めていつもの行列する時には、くれぐれもマスク着用を!

キューバ近況 コロナウィルスCovid-19の影響

コロナウィルスCovid-19 が猛威を振るい、世界中が前代未聞の(少なくとも私が生きてきた半世紀では)大混乱。中国に始まり、日本含めてアジア諸国からヨーロッパへ感染拡大し、2月末になるとキューバでも国を挙げての予防キャンペーンが目立つようになり、それでも1ヶ月前までは、「遠くで起きていること」と楽観していた部分もあった。

3月11日にキューバでもコロナウィルスの感染者が確認され、日に日に感染者が増えていき、ついに今週3月24日からは外国人の入国禁止、学校が休校、国際線や地方を結ぶバス路線の運休、イベントの中止・・・と瞬く間に日常生活に様々な支障が出てくることになると、さすがに明日は我が身と心配。

観光客相手のレストランや土産物屋、博物館なども閉まり、キューバ名物クラシックのオープンカーは姿を消した。外出禁止令までは出ていないけれど、政府からは「不必要な外出は控えるように」と御達しがあったこともあり、街ゆく人も少ない。普段はべシート(頬にキス)して抱き合うキューバ式挨拶もなし、街角で大声で話す人や道で遊ぶ子供たちの姿は見えず、いつも満員のバスも空いている。なんと寂しいハバナの街。

ハバナの中心地、国立劇場の前いつもはクラシックカーがずらりと並ぶ。
今日のハバナ。寂しい・・・

ほんの2、3日前まであった普通の日常が目に見えないウィルスの脅威によって奪われる・・・映画の世界が現実になる恐怖。

今回のキューバ政府のとった措置は今後30日と発表されているから、これからしばらく続く非日常。家族と自分の健康を守るべく感染拡大防止に協力して、一刻も早く世界中で終息して、あたりまえが早く戻ってきますように。