Palacio del Segundo Cabo パラシオ・デル・セグンド・カボ博物館

ハバナ旧市街、アルマス広場で一際目を引く建物は、Palacio de los Capitanes Generalesスペイン総督官邸(現ハバナ市歴史博物館)だが、そのすぐ横にある立派なコロニアル建築も見逃せない。

Palacio del Segundo Caboパラシオ・デル・セグンド・カボ

副総督や伍長の住まいとして使われていたもので、スペイン総督官邸と同じ頃1772年に建設が開始された約250年の歴史をもつ建物。1900年代カピトリオの建築前には国会会議場として使われたり、その後はキューバ図書協会が置かれたりしたが、近年になってEUやユネスコの協力で内部を博物館としてリニューアルされ、2017年5月に開館した。

建物前に掲げられたパネル、ハバナの文化遺産救済活動の一環として修復されたことを記す

キューバの博物館は施設自体が古いこともあるが、展示替えもほとんどせず、展示方法も古典的で正直あまり面白くないところが多い。そんな中、このパラシオ・デル・セグンド・カボ博物館は最新テクノロジーを駆使したモダンで視覚に訴える「見せる展示」が充実していて、今どきの博物館施設に多い「体験型展示」も導入されているキューバでは数少ない「おもしろ博物館」だ。

展示内容はキューバの歴史、文学、芸術と多岐に渡るが、全体的にヨーロッパとの比較や関連を重視した視点となっているような気がする。この観点からして展示の目玉はトンネル状のパネルの左右にキューバ史とヨーロッパ史を並列しているもので、ここを潜り左右を見ながら行くと両者を年代的に比較しながら15世紀から1960年代まで到達する。記述はスペイン語のみだけれど、写真も多く使われているので多少のキューバ史の知識があれば理解できることも多いだろう。

歴史トンネルをくぐってキューバ史を学ぼう

このほか主にヨーロッパの装飾史がざっくりわかるようなパネルや映像の展示室や、世界の地図の歴史が実物レプリカを実際に手にしながら学べる部屋、古代の書物の展示、音楽やダンスの部屋ではイヤホンで音を聞いたり、楽器に触れたりと体験型の展示が楽しい。全体のコンセプトがイマイチ掴みにくいけれど、展示を楽しむという点ではよくできた博物館だなあ、と思う。

日本の意匠に関する展示もあり

コロニアルの建物を活かしているのも素敵で、正面の回廊、重厚な石柱、入り口奥の中庭の雰囲と前面総督邸のそれより規模は小さいけれども見応えがある。

通常の旧市街観光では、建物の存在すらスルーされてしまうかも知れないパラシオ・デル・セグンド・カボだけど、時間が許す方は是非見学を。

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