ハバナ遠景を楽しむ、カバーニャ要塞とモロ要塞

ハバナの街は要塞と城壁で防御された都市だったが、今でもそうした防御施設の跡が残っている。旧市街散策中にはアルマス広場のすぐ横にフエルサ要塞、ハバナ湾岸をマレコンに向かって歩いていくと外海に接する付近にプンタ要塞がある。そして旧市街からハバナ湾を挟んで対岸に目をやると、高台にある灯台を備えたモロ要塞、その横に長い石垣が岸壁上部に張り付いたように見えるカバーニャ要塞を望むことができる。

プンタ要塞付近から見るモロ要塞

要塞は「戦略上の重要地点に設けられる、主に防衛を目的とした軍事施設」であるが、これらの要塞も16世紀から18世紀にかけてスペイン植民地時代にハバナの街を守るため築かれたものだ。当時のカリブ海の島々はスペインが南米各地で採掘した金銀などを本国へ輸送する際の中継地点として重要な役割を果たしていたが、キューバもそれらの財宝を狙った海賊、植民地争いをしていたイギリスやフランスといったヨーロッパ各国の攻撃から街を守るために、要塞や城壁を作る必要があった。これらの石造りの強固な施設を見るとハバナの街の置かれた当時の状況だけでなく、スペインの財力や建築技術などを見知ることができる。歴史に興味がなくても、その大きさに驚き絶壁に組まれた巧みな石造りの急勾配に要塞としての役割を実感することができるだろう。だがモロ要塞とカバーニャ要塞をオススメする理由は他にある。

要塞から見えるハバナの街だ。

オー、マイ・ハバナ!

モロ要塞はハバナ湾の入り口の断崖をうまく利用して作られた要塞、ハバナ側から見る要塞内にある灯台を含めたその姿はハバナのシンボリックな景色のひとつとしてお馴染み。要塞内のテラスの部分には大砲が添えられ当時を彷彿させるが、この一番高いところからは視界の左半分にハバナの街、右半分に青い海が広がる。入場せずに、要塞の裏を巨大な堀に沿って行くと、本体から離れて外海に突き出たようにある砲台のあったテラスに出る。ここからの眺めも絶景。

テラス状の張り出しに立つと、その向こうは絶壁。柵も何もないので気をつけて

要塞の最も高低差の大きい張り出し部を横目に、遠くにマレコン沿いの建物の並びが伸びるのが見え、夏場はその横の海に太陽が沈む絶好の夕陽スポットなのだ。反対側に目をやれば真っ直ぐな水平線、天気が良ければどこまでも青い海が輝いて見える。冬場には荒波が要塞の壁と海岸の岩に叩きつける様子が見られるが、これもまた迫力があっていい。

観光客たちもここに集まって陽が落ちるのを待つ

カバーニャ要塞は、カリブ海域で最も規模の大きな要塞。ハバナ湾側に一直線に伸びる石垣の上にあるテラスには大砲が並ぶが、有名な大砲の儀式Cañonazoカニョナッソは毎晩ここで行われ、重要な軍事関連の行事や外国軍艦の入港時などにはここでセレモニーを行い大砲を打ち鳴らす。広いカバーニャ要塞内はチェ・ゲバラの執務室ほか展示施設もあって見所は多いが目玉は、やはりここから見える対岸のハバナ市街遠景。手前の旧市街、カピトリオの光り輝く黄金のドームが一際目立つ。奥には革命広場のホセマルティ記念館の塔、平らな土地に広がるハバナの街の様子を一望できる。

大砲の並ぶテラスからハバナを望む

この要塞側から見るハバナが最高に好きだ。何度行っても大きく手を広げて、抱きしめたくなる。¡Ay, mi Habana! (ああ、私のハバナよ!)って。

Castillo de los Tres Reyes del Morro モロ要塞
入場:10:00-17:00
Fortaleza de San Carlos de La Cabaña カバーニャ要塞
入場:10:00-17:00, 18:00-21:00(大砲の儀式)
旧市街からは目と鼻の先だが、車を使って海底トンネルを通っていくか、ハバナ湾の両岸をつなぐLanchoncitoランチョンシート=小さな渡し船に乗っていかねばならない。クラシックカーでハバナ湾対岸、カサブランカ地区にある見所を回ることも可能。

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