Malecón habaneroマレコン・アバネーロ:ハバナのマレコン

ハバナで一番ハバナにいることを実感させる場所はマレコンだ。

ハバナをしばらく離れた後にマレコンへ行って変わらぬ景色を見ると、「あーハバナへ帰ってきた!」と思わずその場で深呼吸して空気を確かめたくなる。

ハバナのマレコンは沿岸部の浸水被害を防ぐための防波堤として1901年に旧市街ハバナ湾口にあるプンタ要塞から始まり、その後3〜4期に分けて建設され1958年に西端のアルメンダーレス河口までの全長約8kmが完成した。ほぼ同時期にハバナ湾の海底トンネルとマレコン沿の道路も整備されて、ハバナの街の東西を結ぶ幹線道路としての役割も果たすようになる。

プンタ要塞近く、1901年の建設を示すプレート。アメリカ政権下にあった時代を示すUSAの文字。

もちろん今でもマレコンは本来の海水の侵入を防ぐ目的を果たしてはいるが、ハリケーンや冬場の低気圧通過時に起こる高波は、軽々とその堤を乗り越えて海沿いの道へバッシャバッシャと入ってくる。道路までザッパーンと大量の水が流れ込んでくるレベルだと即通行止めとなってしまうのだけど、多少歩道を濡らすぐらいならばそのまま通行可能であるので、波飛沫を浴びながらマレコン沿いを散歩したりクラシックカーに乗ってドライブしたりできてしまう。そのダイナミックな光景を見ると地元民でも興奮する。

マレコン沿の建物は海風に吹かれて浸食が激しい

ハバナのマレコンは「世界で最も長いベンチ」とも言われるように、人々がその海際の堤に腰掛けて集う場所でもある。日中は暑いので観光客が写真を撮りながら散策するのを見る程度だが、夕方になると何処からともなく人が現れて、夜が更けるまで大勢の人がマレコンで過ごす。夏場や週末には、より多くの人々が集まる。夕涼みがてら「マレコンベンチ」に座って語らうカップルや仲間たち、片手にビールやラム酒のボトルは欠かせない。おしゃべりに夢中な大人たちの側で子供達は駆け回り、手押し車で売り歩く駄菓子やかき氷をねだって大声をあげる。楽器を持った流しのバンドは観光客からのチップが目的かもしれないけれど、ノリの良いラテンのリズムが愉しい気分が盛り上がり、その場で踊り始める人もいる。マレコンはノーチャージの屋外バーとなり、ライブも聞ける絶好の社交の場と化す。これほどキューバにいることを感じさせる場所はやっぱりない。

マレコンに集まる人々
マレコンを会場に行われるイベントもある、写真は2019年のハバナビエナール

かつては泳ぐこともできたので、マレコンから飛び込む少年の写真をどこかで見たことがあるかもしれない。が、現在遊泳は禁止。

でも釣りはOK。

海のコンディションが良ければ、マレコンの堤防上に立って釣り糸を下げる人々が朝から夜まで見られる。当然だけど釣れるポイントというのがあるらしく、何箇所かに人が集中する。釣った魚はもちろん「食用」なので、彼らの多くは大真面目に獲物を狙っている。キューバでは絶対に手に入らない立派な釣り具を持っている人もいれば、いろんなパーツをつなぎ合わせたキューバお得意のinventoインベント=デッチ上げの竿を手に大物を釣り上げる人、竿はなく釣り糸をそのまま海に放り込んでひたすら待つ人・・・うまくいけば鯛やカツオ、時にはマグロだって釣れるらしい。

キューバで釣りといえばヘミングウェイが有名だけれど、ハバナのマレコンで釣りをすれば「老人と海」の舞台となったハバナ沖の海を見て老人が見たのと同じ夕日が見られる。ハバナの旅の思い出にマレコンで釣りもいいかもしれない。

プンタ要塞付近からの夕日

ともかくハバナのマレコン、ハバナ滞在の折には時間を見つけて足を運んでもらいたい。24時間可、但し天候やマラソンなどの理由による通行止時を除く。

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