2020年、いつもと違う夏のはじまり

年がら年中暑いキューバでも、夏は特別。7、8月は夏シーズンとして、各種イベントや旅行キャンペーンが盛りだくさんで、子供も大人も浮かれて過ごす。7月1日にはシーズン開始にあたって今期の主な催し物の発表があったり、TVでテーマソングが流れ始めたりと「夏へまっしぐら!」と気分が高まるとことだけれど、今年はちょっと違う。

先日コロナウィルス感染予防政策が継続する中、早々と夏のイベントの多くの中止や変更が発表された。7月上旬、サンティアゴ・デ・クーバの国際的イベントFiesta de Caribeカリブフェスタはオンラインでのディスカッションのみ、7月から9月にかけて各地で開催されるカーニバルは全て中止など。

カーニバルの本場はサンティアゴ・デ・クーバ。それに比べると全くもって劣るのだけれど、ハバナでも大勢の人が集まるからNG。

それからこの時期といえば、週末ごとの野外ライブ。例えばハバナではマレコン近くのステージで大物ミュージシャンが週替わりで演奏し、夜中の2時、3時まで大勢の人でにぎわう。マレコン添いには夕方から軽食や飲み物を販売するテントも出るので、家族連れも夕涼みがてら海辺を散歩する。屋外とはいえ、超「密」状態は避けられないから、こちらも今年はなし。

そして、7月3日いよいよハバナもポストコロナ第1フェーズにも移行することが発表された。

やった、ついに!

また同時に遅れて第1フェーズに移ったマタンサス州をのぞいて、地方では第2フェーズへ移行するとのこと。これによって州を超える移動も可能となり、キューバ人向けの国内観光が再開されつつある。限られたホテルではあるが、新たな感染対策を取りながら夏休み向けのプランを販売するそうだ。ビーチは軍や行政担当者の監視下で解禁、プールも感染対策を厳守、人数制限を行った上でオープンするらしい。

夏全開で開放的な気分になるのは無理かもしれないけれど、子供が夏休みの間にちょっとはお出かけできたらいいなあ、と思う。

すべての国民は夏を楽しむ権利がある!

キューバ料理の真髄

キューバ料理とは、

「先住民族、大航海時代のスペイン人、奴隷として連れてこられたアフリカ人の食文化が融合した、クレオール(植民地で生まれた者)と言われる食事で、米や豆類、ユカ芋やバナナを使った料理が中心。」

などとよく説明される。現地でもComida Cubanaキューバ料理とは言わずに、Comida Criollaクレオール料理と呼ぶことが多い。でもこれだけでは実際にどんなものかピンとこないだろうから、

・主食はお米で、たくさん食べる。
・肉食志向が強く、中でも豚肉が好まれる。
・島国にも関わらず魚介類はあまり食べない。
・豆類、根菜類、バナナを副食としてよく食べる。
・野菜類はあまり食べない。
・味付けの基本は塩、ニンニク、玉ねぎで、トマトソースも好まれる。
・辛いものは苦手な人が多く、癖のあるスパイス類もあまり使わない。

といった感じで説明する。代表的な料理もいくつかあるが、一般家庭で最も登場回数が多い超定番キューバ料理のメニューといえば、これだろう。

Congrí コングリ(豆の炊き込みご飯)
Bisté de Cerdo ビステキ・デ・セルド(ポークステーキ)
Yuca con mojo ユカ・コン・モホ(ユカ芋のニンニクソースかけ)

副菜がバナナのフライに変わったり、野菜サラダをちょっと添えたりする。大晦日の食事は間違いなくコングリ、豚肉、ユカ芋で決まりだが、メインディッシュが豚の塊を焼くCerdo asado セルド・アサードに変わる。レストランでは各料理が別に盛り付けられるが、家庭では各々が一皿に全てを一緒に盛って食べるのがキューバ式。キューバ人の食べるご飯の量は半端なく山盛りのご飯の上に肉をペロンと一切れ、芋類、あればきゅうりとトマトの輪切りをチョロっとのせる。ご飯を「乾いた」状態=白ご飯で食べるのが嫌いで、炊き込みご飯でなければ、豆類などのスープをかけるか、肉料理などのソースを絡めて食べる。

こうしたクリオール料理はレストランでも扱っていることが多いので、観光客はちょっとオシャレにアレンジされたものを食べることができる。

より家庭料理に近いものを食べたければ、ビニャーレスやハバナ郊外によくある定番料理をビッフェ形式で提供するレストランへ行くか、もしくはカサ・パルティクラル(民宿)へ滞在して食事を頼むといい。

ところでここ数ヶ月、家ごもりでしっかり調理をして家族揃って食事をする機会が多く、キューバ人=夫の食志向を改めて認識。

なんて揚げ物が好きな奴らだろう!

全ての食事の準備が終わって、温め直すものはレンジでチンして、さあ盛り付けという段階になって、夫は必ず何かを揚げ始める。

昨日の夜はサツマイモ。

バナナも揚げる、ちょっと黒くなるまで。揚げ物奉行の夫が担当。揚げる順序や揚げ具合、蓋の有無などいちいちうるさいので、手を出さない。

ほぼ毎食の揚げ物となると、サラダ油の消費量がものすごい。一人暮らしの頃は1リットルのボトルが半年以上もっていた気がするけれど、今我が家では1週間ぐらいでなくなる。だからサラダ油が品薄になると、キューバ人たちは慌てて大騒ぎするわけだ。

コロナ禍で、ダイエットとは対極にあるキューバ料理の真髄を夫と息子の体型を見ながら知る今日この頃であった。

サハラの砂がキューバに到達

数日前から天気予報のなかで、サハラ砂漠の砂が接近中であるとの情報が伝えられていた。日本で春先に中国から黄砂が飛んでくるのと同じような現象で、キューバではアフリカから海を超えてサハラ砂漠の砂がやってくる。例年3月ごろから見られ、雲のような塊となって上空を覆うような形で飛来するのは、6月中旬から8月初旬にかけてだという。今回は通常より低い位置でより分厚い「雲」がやって来そうなので注意を要する、と警告が出された。

6月22日、黄色から赤色がNuve de polvo del Sahara=サハラの砂の雲の広がり。大西洋からカリブ海へ流れ込んできている様子がよく分かる(6月23日グランマ新聞記事)。これがじわじわと東へ移動して25日頃、キューバ上空に達し最も影響があるとされた。これらの砂には鉄分、水銀、燐などの鉱物のほか菌類など人体に有害な物質が含まれるということで、特に気管支系の持病がある人、高齢者や乳幼児は注意が必要という。そのほかアレルギー症状が悪化したり、肌のトラブルを引き起こしたりすることもあるそう。そのためサングラスとマスクの使用と手洗いを推奨、目を触らないで、食料品や貯水に蓋をするように・・・って、ここ数ヶ月イヤという程聞いているコロナ感染予防対策と共通することに気付く。未だに多くの人が外出を控えている状態でもあるので、自ずからサハラの砂による被害防止対策もしていることになっているようで何より。ただ人体だけでなく自然界にも影響があり、アフリカ由来の病原菌によって海中の珊瑚が病気になったり、赤潮が発生したり、陸上では米や豆、果物、サトウキビといった農作物につく害虫被害を引き起こす原因にもなるそう。こちらは飛来したら防ぎようがないから心配されるところ。

確かに24、25日あたりは、晴れているのに太陽がぼーっと霞がかかったようで、視界が悪いような感じがした。近所のコスタから見えるハバナの街もぼんやり。

キューバでサファリ

子供が楽しむことのできる娯楽施設に乏しいキューバ、どこかへ連れて行くといってもたいしたところがないのが、親に取っても悩ましいところ。ハバナ市内にあるいくつかの遊園地(っぽいところ)や水族館(らしきところ)は、週末と長期休みだけオープンし他にいくところもないから、全然たいしたことないのにいつも混んでいる。動物園もそう。

それでもハバナには2つの動物園がある。ひとつは市内の中心部に近い街の中にあるハバナ市動物園。敷地はそこそこ広く池があったり遊具のある広場もあったりするのだけれど、肝心の動物がいない・・・檻もそれなりに並んでいるから動物園なんだろうけれど、檻の中にはスズメたち。ここで見た動物といえば、広場で子供を乗せてぐるりと回って10ペソとるポニーと、室内展示での剥製ぐらいしか記憶にない。

もうひとつはハバナ空港近く、郊外にあるキューバ国立動物園。こちらはだだっ広い敷地に動物が放し飼いにされたいわゆるサファリパーク。公共交通で行くことが難しい場所でもあり、週末でもそれほど混み合わない。意外にちゃんとした動物園なので、観光客が家族でハバナに来て飽きちゃった子供を半日遊ばせるにはちょうどいいかもしれない。そのためかキューバ人の子供達だけでなく、外国人の子供もちょこちょこと見かける。

そしてもちろんちゃんと動物がいるので、大人も楽しい。

入り口チケット売り場の看板には「100種1000頭の動物」とそそられる文句。

園内はバスで見学するサファリゾーンと徒歩で動物を見るゾーン、そして子供用の遊具があるゾーンに分かれている。まずはそれっぽいバスに乗ってサファリへGO!

バスにはガイドが同行し、園内の動物たちについて説明してくれる。ただしスペイン語のみ。

キリンがいる。

サイもいる。遠くの壁が見えなければ、なかなかのサバンナっぷりだと思うのだけれど、ここはハバナ。

もちろん、ゾウも。この日はバッファローとツーショット。

ライオンたちは、別ゾーンに隔離されていた。寝てばかりで遠くにいる彼らを写真に収めることができず。

サファリゾーンの後は、車を降りて飲食コーナーと子供向けの遊具があるエリアへ。こちら有料別料金で子供はますます大はしゃぎで走り回り、大人は財布の中身を心配しながらついてゆく。でもまあ、たまにしかこんなところで遊べないし、日本のそれと比べたらゴメンなさいってくらいにショボいので、心ゆくまでどうぞ、と甘くみる。徒歩エリアの檻の中には、ほっといても何となく生きてゆけそうな鳥類や爬虫類ばかりで、人気もイマイチ。

そんな中、ワニを手にしての写真撮影はおっかなびっくりの子供達が順番待ちをしていた。ちなみに島国キューバには多くの固有種の生物はいるけれど、危険な野生の猛獣の類はいない。「キューバで一番危険な動物は何ですか?」と聞かれて思い浮かぶのはワニぐらい。そのワニも今は絶滅危惧で養殖が行われ「飼育」状態で見られるところがいくつかあるものの、野生のものに遭遇することはまずないとか。

たまにはキューバでサファリ気分を味わいに、大人も楽しい動物園へ。
注)間違っても街中のハバナ市動物園へ行かないように。

ハチドリ、みーつけた

ハチドリはその名前の通り、蜂のようにブンブンと羽音を立てて飛ぶ。飛ぶ、というか長いくちばしで蝶のように花の蜜を吸うために、ものすごい速さで羽を羽ばたかせてホバリング(空中停止)するのだが、この時にブンブンブンというわけだ。北米南部から中米カリブ海域、南米にかけて生息し、日本には生息しないそうだ。

英語のHummingbirdハミングバードもhum=蜂の羽音からきていて響きも可愛らしい。一方フランス語は直訳すると「ハエ鳥」となるそうで、なんだか残念なネーミング。で、スペイン語ではいくつかあるようだけれど、一般的にはColibríコリブリ。でもここキューバではZunzúnスンスンと呼ぶ。これはやはりズズズーという羽音からきているものだと思うけれど、愛らしい見た目にもピッタリくる。

このハチドリ、キューバではポピュラーな鳥の一種でハバナの街中でも見ることができる。スズメのようにどこにでもいるわけではないが、花の咲く街路樹や庭木にいるのを見かけることがある。とても小さいので一瞬「虫?!」と思うほどだけれど、花の正面でホバリングして、花の中をつっついては次の花へと飛び続ける姿を見ると、思わず「あっー、スンスン(ハチドリ)!」と口に出して言ってしまう。そして急いでスマホを取り出し写真を撮ろうとするのだけれど、あっという間にどこかへ行ってしまう。比較的近くにしばらくいても、いちいち動きが素早いので写真に収めるのは難しい。

だが一度、じーっとしているハチドリに遭遇したことがある。

団地の中にある小さな農園の茂みの中、人の背丈もないようなところで花もないのにホバリングしているハチドリを見つけた。写真、写真とスマホを探しながら見ていると、なんと目線より低いくらいの位置にハチドリの巣と卵を発見、「ちーっちゃ!」

人形の麦わら帽をひっくり返したような巣の中に小指の爪ほどの卵がふたつ。「ごめんね、ママ!」と思いながら巣をつまみ寄せて卵を撮影した。親鳥は巣に触れんとする人間に近づきたくても近づけない、威嚇するように少し離れたところでホバリングを続けている。

卵の写真を撮ってから少し離れると、親は卵を覆うように巣の上に留まった。

キューバにはいくつかの種類のハチドリが生息するそうだが、その中には世界で一番小さい鳥マメハチドリもいる。キューバの固有種なので、キューバにしかいない貴重な鳥だ。体長6cmほど体重なんと2g、1円玉2枚!!卵を抱いていたハチドリの種類はわからないけれど、もう一回り大きく体長8cmぐらいだったので、マメハチドリはさらに小さい。卵もさらに小さいわけで、当然ながら世界で一番小さな鳥類の卵になる。キューバ中央部マタンサス州の南Ciénaga de Zapataシエナガ・デ・サパタは野鳥の宝庫でバードウォッチングでも有名なのだが、その近くの集落でマメハチドリを餌付けしているところがあるそう。知る人ぞ知る、なのかと思ったら観光バスも乗り入れて見学していくそうなので少し興ざめかもしれないけれど、遭遇率100%。どうしてもマメハチドリを見たい人はどうぞ。

木彫りのハチドリ。ちょうど実物大ぐらい。色目や羽、尾の形が少しずつ違うのでお気に入りを見つけてお土産に。

トリニダ、ロス・インヘニオス渓谷を列車でゆく

キューバで最も古い街のひとつトリニダ、コロニアルな建物と石畳の道が残る街の中心とともに世界遺産に指定されているのが、トリニダ郊外のロス・インヘニオス渓谷だ。渓谷一帯ではキューバのサトウキビ産業が最盛期だった18〜19世紀に、黒人奴隷を労働力として大規模なサトウキビ農園が営まれていた。これらのサトウキビで財を成した富豪たちが住んでいたお屋敷がトリニダ市内に残る大きなコロニアル建物、だからトリニダとロス・インヘニオスは切っても切れない関係ということで、一緒に世界遺産となっている。

インヘニオスとはスペイン語で製糖場のことで、当時は各地主が農場内に簡易の製糖場を持っていて砂糖の生産まで同じ場所で行っていた。その製糖場の跡が渓谷内に点々と残り、これらのいくつかは観光用に整備され見学可能となっているので、現在もサトウキビ畑が広がる渓谷の景色を楽しみながら、各所を訪問することができる。

トリニダ市内に宿泊しているのなら、タクシーを使って半日観光でロス・インヘニオス渓谷を巡ることができる。通常は渓谷を見渡す展望台、製糖場の遺構がよく残るサトウキビ農園跡、同じく農園跡でてっぺんまで登れる塔で有名なマナカ・イスナガあたりを見学する。時間に余裕があって鉄道に興味のある人には、観光列車で行くロス・インヘニオス渓谷もオススメ。車より時間がかかるけれど、のんびりレトロな列車にコトコトと揺られながら渓谷の景色を楽しむことができる。

トリニダの街はずれにある鉄道駅、この観光列車専用の駅舎。

チケット販売は当日9:10から。事前予約不可、不定運休につき翌日の列車の有無を前日に確認のこと。9:30出発。

トリニダの街を出てしばらくサトウキビ畑の広がる中をゆっくり列車は行く。往復のどちらかでマナカ・イスナガへ寄って1時間ほど停車。下車して見学、もちろん塔に登って360度の絶景を楽しんだり、サトウキビジュースを試したり。

折り返し点はGuachinangoグアチナンゴの近代製糖工場跡。

1893年から2001年まで操業していた工場跡で、煙突や工場内で使われていた機械、大型農具、機関車までそのまま廃墟された状態を見ることができる。廃墟マニアにはたまらないという見事な放置っぷり。ここでも小一時間見学、休憩。

以前は観光蒸気機関車を走らせていたようだけれど、現在はディーゼル車を使用。客席は木製、窓がないので少し強い雨が降ると濡れる・・・飲み物やサンドイッチなど車内販売なるものもあり、モヒートもちゃんと作ってくれる。キューバ音楽を演奏するバンドは乗っていることも。

キューバの鉄道の歴史は、サトウキビ産業とともにある。サトウキビや砂糖を運ぶために世界的にもごく早い段階で敷設された。こうやって残る路線がサトウキビ畑をぬって工場跡まで延びているのも納得。帰りも同じ路線を行くのでちょっと退屈で、お尻が痛くなるのはちょっと我慢。トリニダ駅に帰ってくるのは午後3時ぐらい。

トリニダへ行ったらコロニアルな町並みを楽しむのと同時に、キューバの砂糖産業の歴史についても学ぶことをお忘れなく!

キューバのコロナウィルス感染予防対策:規制緩和の開始

先日11日に発表されたコロナウィルス感染予防対策の規制緩和が、18日から開始されることが決まった。対象はハバナとマタンサス州を除く、すでに2週間以上国内感染者の出ていない州と青年の島特別区。第1段階として公共施設や商店、レストランの再開、州内の公共交通の運行再開、宿泊施設の再開などがされ市民の生活が少しずつ元に戻っていく。

ということで、残念ながらハバナの規制緩和はまだ・・・

ここ最近のハバナの新規の感染者数は一桁から15名以下だけれど、ゼロの日はまだない。政府が決めた基準値があるらしくそれが達成されないと、緩和の第1段階に移行することができないらしい。もちろん状況によって、第1段階、第2段階と移行してもまた後戻りする可能性もあるとのこと。

今更ながら手強いコロナ、収束の日は果たしてくるのやら。

コロナに関係なく季節は移ろう。キューバでは感じることがほとんどないのだけれど、Framboyánフランボヤン(火焰樹)の花が咲くともう夏だなあ、と思う。暑さが増すようなギラギラとした赤だけれど、横に大きく枝が張って葉が茂るので大きな木陰ができる。真夏の太陽も遮ってくれるので、公園にたくさん植わっているらしい。

キューバのコロナウィルス感染予防対策:段階的規制緩和の方針発表

3月11日にキューバで初のコロナウィルス感染が確認されて3ヶ月、3月24日から国境を閉鎖し数々の感染予防のための規制が実施されて2ヶ月半が経過した。ここ2週間の新規感染者は1桁から20名以下ほぼハバナに限定されて、海外からの帰国者により感染者が増加した日が何日かあったものの、死亡者数も10日間で1名と落ち着いてきている。そうした中、6月11日政府による今後の規制緩和方針について発表があった。内容の概要は以下の通り。

コロナ後、正常化に向けての規制緩和は段階的に行う。
第1段階:国内の生産、経済、社会活動を正常化に向けての準備段階
第2段階:世界レベルの危機に立ち向かうための経済強化政策に準ずる段階。
第3段階:すべての活動を可能な限り正常化。

緩和内容(一部抜粋)
第1段階

  • 医療サービスについて、中断していた治療や延期されていた緊急性を要さない手術の実施を徐々に再開、全体の50%。歯科治療についても感染予防を十分にして再開する。
  • 観光は国内旅行のみ、規制のもとグループ単位での旅行。
  • 出入国できる飛行機便は引き続き人道支援用、救援物資用、貨物のみに制限する。
  • 市内および州内の公共交通機関を制限付きで再開する。州を超える交通機関はFAR(革命軍)、内務省、建設・観光関係労働者の移動用のみ。
  • レストランやカフェテリア、物件賃貸の再開。
  • 個人経営者の事業再開を促進。
  • 緊急性や社会的影響を見ながら結婚手続き、裁判、刑罰等を再開する。
  • 停止されていた製造業の再開。
  • 宿泊娯楽施設、公園、動物園、水族館、植物園等の再開、ただし50%の入場制限。
  • 人数制限をした上でのジムの再開。

第2段階

  • 医療サービスの75%を実施。
  • 海外からの観光客を受け入れ開始するが、国際線チャーター便の発着する隔離された群島ビーチリゾート(Cayo Coco, Santa María, Guillermo, Cruz, Largo del Sur)のみ。そこから他の都市へのツアーは実施されない。
  • すべての海外からの観光客は、入国時にPCR検査と体温検査を受けなければならない。
  • ホテルには感染症専門家、看護師を配置し観光客の健康状態の監視をする。
  • ホテル等で観光客に対応する労働者はすべて簡易検査を受け7日間勤務ののち、7日間自宅隔離で待機する。
  • バス、列車、飛行機等の州を超える公共交通機関を再開する。
  • 国営ではない個人事業に対して、新たな許可の発行を開始する。
  • 状況の回復状態により、税の徴収を再開する。
  • 保留となっていた電気・ガス・電話料金の徴収を再開する。
  • Serie Nacional de Béisbol国内野球リーグの開幕。
  • 文化関連施設、博物館、劇場、映画館等の再開。

その他

  • 現在行なっているマスクの着用、手洗いや消毒の徹底、家庭訪問などによる健康チェック、人との距離を保つ、海外帰国者の隔離、在宅勤務の推奨などの感染予防対策の多くは、今後も引き続き実施する。
  • 学校再開は9月、最初の2ヶ月間は現学年で休講分の履修、11月より新年度の開始とする。
  • 大学等の高等教育機関は第1・第2段階ともに講義の再開と入学試験は見合わせる。
  • 夏季シーズンに向けてプールは再開するが、施設の消毒等の規定を厳守すること。またビーチも公開するが密集を避けるために内務省軍の監視のもと。
  • カーニバルは開催しない。(*2020年6月12日付グランマ参考)

上記の規制緩和第1段階は6月14日の週半ばから翌週にかけて開始予定とのことで、11日の時点で正確な日付は発表されなかった。 どのような形で市内の公共交通機関が再開されるか、どの程度店舗やレストラン、公共サービス機関が再開されるかがまだ明確には発表されていないので、果たしてどんなもんだか・・・様子を見ながら、規制を緩めたり締めたり、という感じになるのだろうけれど、少しでも息苦しさと不便さが減るといい。

キューバで野球観戦

サッカーより断然、野球だ。

サッカーが盛んな静岡で育ち、Jリーグができて、日本がワールドカップに出場するようになっても、スペイン語を始めてスペイン語圏に関連するものならなんでも興味を持つようになっても、やっぱりサッカーより野球の方がおもしろいよなーと思う。

そしてキューバといえば、野球だ。

実際に暮らしていると確かに野球好きな人は多いと思うし、TVのスポーツニュースでも野球ネタは欠かせない。現在日本のプロ野球でプレーするキューバ人も複数いるので、シーズン中は彼らが出場した試合での活躍については必ず放映される。

そんな野球が国技といえるキューバでも、やはりサッカー人気はジワジワと台頭してきて、競技人口も増え一昨年からは国内リーグが開始された。週末にはスペインなどヨーロッパ各国リーグの試合を、大騒ぎしながらTV観戦をする人も多い。うちの息子も、訳もわかっちゃいないだろうに「俺、バルサ」と言って、「ゴーーーール!!!」の瞬間だけ盛り上がって試合を楽しんでいる。街中で野球をして遊ぶ子供より、サッカーをする子供が目立ち、将来の夢はサッカー選手という子の方が多くなったかもしれない。

それでも、やっぱり野球だ。

キューバの国内リーグは、Serie Nacionalセリエナシオナルと呼ばれる。通常8月に開幕、10月末までの第1シーズンで州ごとに1チーム全16チームが競い、上位8チームが第2シーズンへ、さらに4チームが1月の最終シーズンで優勝を争う。野球好きの人はこの時期にキューバへいたら、是非、球場へ足を運んでほしい。ハバナであれば、ハバナのチームIndustriales インドゥストリアーレスの本拠地であり、キューバが誇るラティーノアメリカーノ球場で観戦できる。

収容人数55,000人というが、果たしてそんなに入る?ベンチ席も多いのでよっぽどギューギューに詰めたらいけるのか・・・最近は野球観戦者数も減って、この客席が埋まることはほとんどない。一応ナイター対応可能だけれど、電力不足につきライトの使用を避けるためにデーゲームのみ。試合中球場内でのアルコールは禁止なので、売り子が魔法瓶持ってコーヒーを売りに来るという健全さ。でもキューバ人はアルコール入らなくても、大声を張り上げ熱くなるのは野球に限らずどんなスポーツでも同じ。試合中の鳴り物も個々に持ち込んでいて、賑やかだ。野球のプレーだけじゃなくて、観客観察をするのが面白い。

球場外観。青いペイントは、インドゥストリアーレスの色。

球場横にある看板。「勝利はすべての努力の積み重ねの上にある。フィデル」フィデル・カストロのスポーツに関する名言は多い。革命後、すべての国民にスポーツを楽しむ権利があるとして、奨励しアスリートの育成システムを確立させ、多くのキューバ人選手が世界を舞台に活躍してきた。日本では一大イベントであるオリンピックも中南米、他地域でも多くの後進国ではそれほど盛り上がらないし、存在すら知らない人たちも多い。その点でキューバは本当にスポーツが盛んだし、オリンピックも大いに盛り上がる。大会期間中、パラリンピックも含めTVでは24時間様々な競技が放映され、自国の選手が出場しない競技でも下位選手しか出ないような予選でもランダムに見られる。

実は、キューバのナショナルチームはまだ東京オリンピックの出場権を獲得していない。3月末にアメリカ大陸選手権上位入賞がオリンピック出場をかけて、最後の戦いのチャンスだったのだが、コロナの影響で大会延期となってしまった。オリンピックそのものも1年延期ということで、これがキューバチームにとって吉と出るか?!

また今年の国内リーグ開幕時期は、まだ決定していない。自粛生活が続く中、選手たちが自宅でトレーニングに励む姿、球場のメンテナンスなどは度々ニュースになっている。8月にはコロナも落ち着いて、通常開幕となるといいけど・・・

第70回ヘミングウェイ国際カジキ釣りトーナメント中止

6月8日から13日にハバナで開催される予定だった第70回ヘミングウェイ国際カジキ釣りトーナメントが中止となった。言うまでもなくコロナの影響でキューバは国境を閉鎖し、観光イベント等はすべて停止状態なのだから仕方がない。

今年開催されていれば第70回、その名にある通りキューバを愛した文豪ヘミングウェイが主催して始められた大会で、世界でもこの種の釣り大会では最も歴史のあると言われている。

60年前の大会にはフィデル・カストロも参加して優勝し、有名な二人のツーショット写真が撮影された。(写真はマリーナヘミングウェイ提供)

キューバにはヘミングウェイゆかりの地が多くあり、日本人観光客も多く訪れ賑わっているが、この大会は日本ではそれほど知られていないかもしれない。そもそも日本のカジキ釣り人口がどれくらいなのか知らないが、大会が中休みも含めて6日間に及ぶこと、キューバという遠方へ出向かねばならないこと、他の有名な釣り大会のように多額の賞金が出るわけでもないことから、日本からわざわざ参加が難しいというのがまずある。

だが2020年7月日本とキューバの友好目的で「浜名湖キューバ ヘミングウェイカップ」というカジキ釣り大会が静岡県で開催されることが決定して、昨年2019年キューバでの大会には初めて日本チームが参加、1日船に乗って貴重なカジキ釣り(見学)体験までさせていただいた。今年も浜名湖での大会関係者の方々が参加予定だったので、キューバ大会参加のお手伝いをして一緒にラテンな釣り大会を楽しませていただこう、と思っていたのに。何なら7月には日本へ行って、浜名湖の大会へも顔を出す予定だったのに。どちらも本年度の大会は中止。

すべてはコロナのせい。

今日のハバナの沖。波もほとんどなく静かだった。ヘミングウェイトーナメント中は我が家からすぐの海岸沖にも、大会参加の船が行くのが見える。