キューバといえばサルサ。サルサは音楽ジャンルのひとつであるけれど、それだけでサルサダンスをイメージする人も多いことだろう。私自身もキューバやラテン文化にまだあまり詳しくない頃には、サルサはダンスと思っていた。ラテンについて興味がなくても、ダンスとしてのサルサを知っているということもあり得るし、サルサダンスからラテンにハマっていく人も少なくないはずだ。
そうしてサルサにのめり込んだ人は、キューバに憧れる。
これまでにサルサを踊りに、サルサを習いに、サルサフェスに参加するためにキューバを訪れる人達にたくさん出会った。ハバナ旧市街のサルサダンス教室はいつも様々な国の人たちで満員御礼だし、Casa de la músicaカサ・デ・ラ・ムシカへ行けば、現地の人顔負けに上手に踊る外国人を見かける。
サルサダンスの起源については諸説あるのでおいといて、その音楽もダンスもキューバでは皆が大好き、ポピュラーなものであることは間違いない。最近の若者の間では新しいジャンルの音楽の方がメジャーになってきているから、もうどちらかというとキューバ伝統的音楽といってもいいかもしれない。ダンスにしても、キューバ独自の数組のカップルが輪になって相手を変えながら踊るRueda de Casinoルエダ・デ・カシーノというスタイルで踊ることのできるのは、40歳代以上の人なんじゃないかと思う。もちろんダンスを勉強していたり、ミュージックVTRに登場したりするダンサーたちはできるだろうけど・・・
派手にクルクル回って高く脚を上げ、男性が女性を持ち上げたりするNYスタイルと呼ばれるダンスも素敵だけれど、どうせやるなら細かなステップを刻んで男女が絡みあいながら流れるように踊るキューバンスタイルがいいなあ、と思った。たまたま日本で初めてサルサを教えてもらった女性がキューバ人、エクアドルで通っていたサルサ教室にもキューバ人男性の先生がいたので、その「さわり」だけはやってみた。彼らの何でもないように滑らかに動く腰、自然に音楽にあわせて刻むステップ、いつか自分もできるようになるかしら・・・
が!!見るとやるでは大違い。全然できない。
練習して少しは様になってきたかなと思っても、踊りながら我ながらいけてないことがわかって赤面する。キューバ人たちが「別に練習するわけじゃない。」と言う通り、これはもう頑張ってできるものではなくあくまで何でもないように、自然にできてしまうものなのだ。
だから、ハマる前にやめた。
それでも元々キューバ音楽が好きでキューバへ来て、キューバで暮らし、キューバ人たちと一緒にサルサのライブへ行く機会もあるので、そういう時には何となくそれらしい感じで身体を動かしてみる。たとえうまく踊れなくても・・・
ところでコロナの影響でライブもフィエスタ=パーティーもなく、もちろんサルサ教室も閉まっているのだけれど、これからwithコロナの時代にサルサダンスはどうなるんだろう?マスクして踊る??
サルサだけじゃなくタンゴも社交ダンスも、濃厚密着必須のダンスたちの未来がふと心配になった。