キューバのコロナウィルス感染予防対策:医療

キューバの医療体制は独特であることは、世界的にもよく知られている。医療レベルや質は抜きにしてとにかく医師、医療従事者の数は多く、保健省を頂点に全国をカバーする医療機関、関連施設が組織的に整っていることは確かだ。コロナウィルスへの対応と国民の反応を見ていると、国民がこの医療体制や医者をとても信頼しているのだなと思う。これはこれまでも感じていたことだけれど、「お医者さん」のいうことは本当にみんなよく聞く。今回もそうだ。

コロナに限らず、感染病予防対策として徹底的に患者を隔離する。特に子供に対しては発熱と下痢があると即入院、うちの息子もすでに2回経験済み、普段はデング熱などが疑われての措置である。今回の場合、3月11日に最初の発症例が出てから感染者と接触した人全員、24日以降は海外からの帰国者全員対象に隔離施設で14日間過ごすことを強制され、その間にすべての人が検査を受けることになっている。発症していればもちろん入院して治療を受ける。隔離施設には病院のほか、都市郊外にある宿泊施設や保養施設が使われているらしいけれど、これらすべて国営なので有無を言わさず転用可能、この辺りはウダウダもめることなくてよろしい。

それから医学生たちの家庭訪問。各地域で医学生たちが家庭を1件1件「発熱者はいないか」「呼吸が困難な症状の人はいないか」と質問して周り、感染の早期発見に努める。これはデング熱などが流行った時にも流行地域で行われるのだけど、今回は全国でほぼ毎日実施されているそう。

玄関口で家族の健康状態を質問、その後地域診療所へ報告する。グランマ誌より

キューバ国内だけではない。人道支援としてキューバの海外への医師派遣は有名だけれど、今回も要請を受けてすでにイタリアやスペインだけでなく、周辺のカリブ海の小さな島々などへ598名14の医師団が派遣されている(3月31日現在)。

派遣団の出発式の様子。ここ数日毎日のように何処かの国へ。グランマ誌より

こうした人々のために尽くすキューバの医師、そしてコロナと戦う世界中の人々へ尊敬と感謝の意を込めて、夜9時にキューバ中の人々が拍手贈る、というのが始まった。29日の夜に決行、と誰かがSNSで呼びかけたらしいけれど、TVのニュースでも取り上げられ翌日以降も夜のニュース番組が終わるときには、「あと数分で9時です、現場で戦う彼らに拍手を!」とアナウンス、そしてその数分後に各家庭から大きな拍手が聞こえてくる。ハバナの夜9時といえばカバーニャ要塞のカニョナッソ(大砲の儀式)が有名だけど、その大砲の音に負けないくらいの大きな拍手がハバナの街中から湧き上がる・・・

午後9時、みんなベランダに出て、窓辺で大きな拍手を。コロナと戦う人たちに届くように・・・Facebook掲載

色々な場面で感じるけれど、このキューバ人の一体感が好きだ。

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