キューバのコロナウィルス感染予防対策:国境閉鎖継続

キューバのコロナウィルス感染者数(5月22日発表)
累計:1916人、死亡者数:81人、回復者:1631人

キューバでは3月24日より国境閉鎖のほか様々なコロナウィルス感染予防対策が実施され、2ヶ月が経過した。ここ10日ほどは新規の感染者数も1桁〜20人以下と落ち着いてきて、発症場所もハバナと2、3の州に限定している。想定された最低ラインで推移していているものの「感染予防対策は緩めない」と先週のうちに政府の発表があり、すべての制限が期限未定で延長されることになった。これに伴い、特別便を除いて国際線の発着も7月以降になる見通しで国境閉鎖状態が続く。

観光:観光省は宿泊等の観光施設の再開も当面見合わせる、と発表。この間を利用して老朽化した施設の修繕等を進めている。

教育機関:学校等の再開時期は未定。キューバでは6月が学年末、卒業シーズンだがこのまま本年度は休校、9月の新学期に再開となる模様。教育省によると再開から8週間は、休校となった現学年の内容を学習し、その後新規の内容に入るとあったが、卒業年度の学年はどうするのだろう?

交通:各州を結ぶバス、鉄道路線、公共交通機関は引き続き運休。

レストラン、店舗:デリバリー、持ち帰りの形態で政府が指定許可した店舗のみ営業可能。基本的に食料品と衛生用品の販売のみ。

外出:禁止はしないが自粛徹底。

隔離:ハバナ市内では数カ所の地区で隔離状態が継続中。海外から入国時には隔離施設へ空港から直行しそのまま14日間、感染接触者も隔離施設または自宅にて14日間隔離する。

予防:マスクの着用(外出時、公共の場でしていなかった場合は罰金)や手洗い・消毒の推奨、ほぼ毎日の家庭訪問も継続実施される。

これらの規制の緩和については、まだ発表されていない。現状維持のまま今後、全国の感染状況を正確に把握するため、ランダムに抗体検査を実施する予定だそう。最終的には国内感染者ゼロになってから、2週間観察後にようやく規制緩和=国境再開という噂もある。

先はまだ長い・・・

キューバが最も力を入れる保健医療に関連することだけあって、政策に対する取り組みの体制や厳格さが際立っている気がする。検査は感染の疑いがある人のほか、未症状でも海外帰国者や感染接触者すべてに実施、感染経路についても徹底的に調査してほとんどの感染経路を確定している。またこれらの情報について詳細に国民に伝えた上で、有無を言わせず予防対策を呼びかける。国民をコロナから守る、が第一でそのほかの犠牲については省みないというキューバらしさが今回の対応によく現れているなあ、と思う。

夜9時のAplausos(アプラウソス)=医療関係者などコロナウィルスと戦う人々への激励の拍手はその後も続いていて、毎晩、各家庭から大きな拍手が鳴り響く。キューバ人と一体感を感じながら、夜な夜な拍手。でもこれがいつまでも続きませんように、が本音。

5 Replies to “キューバのコロナウィルス感染予防対策:国境閉鎖継続”

  1. キューバ事情、気になるのでとても有益な情報ありがとうございます!
    キューバの予防対策もゆるめなのですね。
    治療法が気になります。日本のように総合感冒薬や解熱剤を多用し、抗生物質(抗菌薬)も早めに使われるのでしょうか。
    個人的に、薬剤(特に抗菌薬)を多様する国ほど、症状悪化(小児の川崎病様疾患など)が目立つように思います。
    今後の対策を打ち立てる上で、抗体検査は重要なのですが…日本はろくに行っていないので(献血者をランダムに少数のみ)、疫学的考えはキューバの方が進んでいますね。
    国民の命より、税金をいかに使うか、利権優先だからでしょう。
    キューバ医療というと、外貨をワクチンで得ているイメージがありますが、国内での新型コロナワクチン研究も進んでいるのでしょうね。

    1. 今村様
      コメントありがとうございます!
      医療専門ではないので、現地の新聞やTVで報道されている内容の素人理解でしかお伝えできないのですが、分かる範囲で・・・
      コロナが中国で感染爆発した1月当初から、キューバが開発したインターフェロン・アルファ2Bが有効であると報じられ、実際に中国等に提供されて効果があったとされています。どの段階でかは分かりませんが、キューバでもこれを投与しているそうで、最近はもう1種のインターフェロン(ガンマ?聞き逃しました・・・)を併せて投与するとより効果が上がると報道があり、この際に「多くの場合抗生物質を投与するにいたらない」というようなことを言っていました。個人的な印象ですが、キューバではどんな病気や症状に対しても比較的すぐに抗生物質を投与する印象があるので「へー、そうなのか」と思って気に留めました。
      ワクチン開発も独自に進めていて、すでにいくつか候補となるものを完成させているようです。キューバが医療で外貨稼ぎをしているのは事実ですが、このワクチン開発にしても自分たちで作らなければ外から入ってこない、という現実があります。つまりアメリカの経済封鎖の影響でワクチン輸入ができない可能性が高く独自開発するしか国民の命を守る手段がない、と。
      今回のキューバのコロナ対策が日本で報道されることはまずないでしょうが、キューバの独自性が出ていて興味深いなあ、と思っています。

  2. tomoko様
    お忙しい中、ありがとうございます!
    なるほど!インターフェロンですね。
    「多くの場合抗生物質を投与するにいたらない」って心強いですね。

    アメリカが以前マラリア薬を推奨していて、「新型コロナは治っても、寿命が縮んだら意味が無い」って、クライアントさん達に言っていたのですが、最近の報道で同様の意見でしたね。

    日本で新型コロナが重症化した方はもれなく、抗生物質を投与されています。
    血管症状を主とする全身症状が現れるのもうなずけます。

    しかし、キューバでも他の病状についてすぐに抗菌薬を投与する、というのは意外でした。
    医師は手持ちのカードが少ないので、多用したがるのはどこの国も同じかもしれませんね。
    私は新型コロナより、全身の常在菌叢を壊す抗生物質の方が怖いです。

    なんとなく、ワクチンはインフルワクチンレベルで、効きにくいものしかできないように思いますが、キューバのワクチンノウハウは優秀なので、少し期待してしまいますね。
    薬は耐性ウイルスが怖いなあと。

    個人的にはスウェーデンをさらに厳しめにした自粛政策で、ゆっくり集団免疫を作っていく以外、根本解決方法は無いと思っています。

    最後まで読んで無いのですが、こんな記事もありますね。
    https://webronza.asahi.com/comment/comment.html?comment=2020033000011

    1. 今村様
      コメント、情報ありがとうございます。
      これからもキューバにおけるコロナ対策、少しずつ規制の緩和へ向かっていくでしょうが、分かる範囲で情報更新をしていきたいと思っています。
      今後ともどうぞよろしくお願いします!

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