2019 年、新年が明けた。
キューバのお正月はそっけない。家族や友人同士集まってのパーティーは大晦日の晩、0時に日付が変わるのを皆で待ち、年明けと共に「おめでとう!」の挨拶を交わす。最近はキューバ人も携帯電話を持つようになったこともあり、夜中の混線を避けて31日の昼間から「新年の挨拶」メッセージや電話があったりして、年が明けてから「おめでとう」を祝う日本人の感覚にちょっとそぐわず変な感じがする。
そして元旦は静かなもの。1月1日は新年でもあるが、キューバにとっては「革命勝利の日」という大事な祝日でもある。特に今年は1959年のその日から60周年の区切りの年ということで、何か大きな催しがあるのかと思ったけれどハバナは静かなもので、例年通りサンティアゴ・デ・クーバのホセ・マルティやフィデル・カストロの眠るサンタ・イフィヘニア墓地で式典があったくらいだった。
いつもの週明けと変わらない感じで、2日にはぼちぼち仕事始め。3日、たまたま近くへ行く用事があったので今年初の革命広場へ。いつもは広場のチェ・ゲバラやカミーロ・シエンフエゴスの肖像の前で写真を撮るだけでホセ・マルティ記念館へ行くことはないのだけど、この日はまだ学校が休みの息子も一緒だったので、2005年初めてキューバを訪れた時以来、実に13年ぶりに入場した。
ホセ・マルティはキューバ人の誰もが間違いなく尊敬するキューバの英雄だ。スペインからの独立に尽力した一人だが、フィデルもマルティを師と仰ぎ、彼の思想をもとに国を作ろうとした。そのため現在のキューバという国を知るためにはマルティの思想を知らねばならない、とも言われる。そのマルティについて様々な展示がなされているのが、革命広場にある一際目立つ高い建物内にあるホセ・マルティ記念館だ。ここでマルティに関する展示を見た後は、建物最上階の展望台へ。東西南北ぐるりとガラス張りとなっていて、標高約110mハバナで一番高いところから360度市街を見渡せる。
13年前見たハバナの風景とたいして変わっていない。今も目立つのは旧市街のカピトリオといくつかの古い高めの建物、新市街のホテルハバナリブレなどいくつかの高層ビル、北には青い海の水平線が広がり、南は遠くに山並みが見えて街の広がりが対して大きくないことが知れる。
お天気が良かったこともあり、キューバらしい青い空の下のハバナを見るのはなんとなく晴れ晴れとした気持ちになって「正月らしくていいかな。」と思った。