マンゴーの季節

「キューバでオススメの季節はいつ?」

と聞かれたら、迷わず答える。

「マンゴーの季節!」

5月から7月がキューバのマンゴーの季節。4月下旬から5月上旬、キューバの雨季の始まりは雨が多いのだが、この雨でマンゴーが熟して美味しさが増す。つまり雨がしっかり降ってくれないと、マンゴーは美味しくならない。

今年4月は記録的に雨が少なかったため、水不足が心配されている。4月の後半には走り梅雨ではないけれど、例年ボチボチと雨が降り始めるのだが、今年は全くといいほど降らなかった。コロナの規制に加えて、水も制限されたら二重苦、外出自粛でみんな家にいるものだから電力消費量も跳ね上がって電力不足まで懸念されている。まさかの三重苦・・・

が、5月に入ってここ数日少し雨が降ってくれたおかげで、マンゴーはようやく熟しはじめたよう。早速、自家農園を持つご近所のおじさんが今年初めてのマンゴーをバケツいっぱいに持ってきてくれた。

日本では高級果物のマンゴーだけれど、キューバでは旬には食べ放題。庭にたわわに実るマンゴーの木があるという贅沢な家もたくさんある。種類も豊富で、一口大の小ぶりなものから顔の大きさほどのもの、黄色いものから赤いものまで、数十種類。あまりに色々あるものだから、以前マンゴーカタログなるものを作ったこともあるほどだ。太陽の光をいっぱい浴びた天然の甘さ、これをムシャムシャといった勢いで食べることができる季節、絶対オススメ!

早くコロナが収まって、今年もマンゴー狩りに行けるといいなあ。

春休み、スペイン帆船見学とマレコン散歩―ハバナビエナール―

キューバの学校は9月が新学期の始まりで、年末年始に10日間ほどの冬休み、4月に1週間の春休みがあって、6月末が学年末と一応3学期制となっている。今年は4月15日から1週間が春休みだった。

休みの期間、親たちを悩ませるのは昼食の準備(小学校は一応給食がある)と退屈する子供たちの「どこかへ連れていってよ」攻撃。これといった娯楽がなく子供たちが楽しめる施設や公園も数知れているキューバでは、限られた子供を連れていく場所がものすごく混む。ハバナなら動物園、旧市街にある小さな遊園地、郊外のレーニン公園といったところか。自家用車がないから、そこへ行くための交通機関も混んでうんざりしてしまう。

見学のために長蛇の列!

幸いどこかへ行くより近所の子供達と一緒にいるだけで楽しい我が子は、朝から晩まで本当によく遊んでくれて助かった。それでもちょっとはお出かけしようか、と行ったのがハバナ湾に入港して数日間滞在していたスペイン海軍学校の訓練船、Juan Sebastian de El Cano(フアン・セバスティアン・エル・カノ)号の一般公開見学と、マレコンを中心に開催されているハバナビエナール(造形作品の屋外展覧会)。

スペイン国旗がキューバの青い空に映える。植民地時代を彷彿?!

Juan Sebastian de El Cano号は1927年造船の帆船。見学時はもちろん帆は張ってなかったのだけど、歴史を感じる船体は美しく丸ごと芸術作品。ちょうど入港時にハバナ湾の入り口付近を走行する姿を見たけれど、それは素敵でうっとりするほどだった。

ハバナビエナール、5月18日まで開催中。

ハバナビエナールは国内外の造形作家たちによってマレコン沿いのあちこちにアートが出現、いつものマレコン散歩がいっそ楽しくなるイベント。この日は波が少々高くて海側のアートは波しぶきがかかってしまっていたけれど、真っ青な海と空の下、カラフルなアートが映えた。

さあて、この休みが終わったら学年終了まで2ヶ月半。そのあとは長すぎる夏休みが待っている。

ハバナで話題のレストラン、Doña Alicia(ドニャ・アリシア)

キューバには飲食店でも国営のもの、民営のものがあって民営レストランをParadar(パラダール)と呼ぶ。と言ってもの看板に「Paradar」と掲げている店はほとんどないし、国営のレストランも「うちは国営」とうたって商売はしていないので、これらをパッと見て見分けるには難しい。一概には言えないけれど、裏通りや不便な場所にあって規模が比較的小さく内装が今風でお洒落なのはパラダール、広場や観光客のよく通る道に面した大きめのコロニアルな建物を使いキャパも多めなのだけど、内装はイマイチセンスなく古めかしいのが国営レストラン、といったところか。料理の質やサービスは間違いなくパラダールの方が良い。

ところで少し前から気になっていたパラダールがあった。

セントロハバナ、Sagrada Corazón de Jesús(サグラダ・コラソン・デ・ヘスス)教会の数件隣、時間や曜日関係なく午後はいつも店の前に多くの人が待っている店Doña Alicia(ドニャ・アリシア)。客のほぼ100%がキューバ人。

お店の看板。アリシアおばさんは実在した方らしい。

最近はパラダールも観光客だけのものではなくて、「ちょっと外食でもしようか」とキューバ人達が足を運ぶような店が増えたように思う。食に対して冒険をしないキューバ人、人気なのは安くてがっつりキューバ料理を食べられる店。

だからこの連日大賑わいのレストランもきっとそういう店だろうと思い、夫を誘って先日平日の昼間に行ってみた。12時ちょうどに到着、幸いまだ店内は空席があってすぐに案内され着席。

座ってすぐに驚いたのは、各テーブルに備え付けられたタブレット。なんとタッチパネルにメニューが提示され、オーダー、お会計と全てできるシステム。

表示はスペイン語だけど写真があるから、言葉がわからなくても安心。

「日本の居酒屋か回転寿司じゃん!!!!」

ワクワクしながらパネルをタッチしてメニュー拝見。一般的なキューバ料理に加え、キューバ人が大好きなピザとパスタから甘いデザートまで種類も豊富だった。各メニューはもちろん写真付きで、人気度数が星で表示、本日提供できないものは「只今できません」とはっきり表示。これは観光客にもありがたい。料金は旧市街のパラダールより若干安め、比較的良心的。料理のボリュームはびっくりするほど多くないけれど、味はザ・キューバ料理。副菜もささやかな野菜に揚げ物で決まり。盛り付けはちょっとカフェ風でよろしかった。

キューバ料理をカフェ風に盛り付けるとこうなる。

 

数日後。夫と二人でDoña Aliciaへ行ったことが子供にバレてしまい、同じ週の土曜日ランチもこちらですることになった。

「週末だし、すごい待たされるんだろうなあ。」

と覚悟して向かいいざ行列へ。先日は並ばなかったので気がつかなかったが、ドアマンがちゃんと名前と人数をきいてチェックし、順番に案内してくれるようなっていた。しかもこの順番待ちをしている人たちの名前リストが外の大きなディスプレイパネルに表示され、おおよその待ち時間も予想できた。またこのディスプレーにはメニューも順次表示されて待ち時間を飽きさせない。

いつも店の前には大勢の人が待ってる。

さらに先日は店内手前の席だったので気が付かなかったけど、店の中央を仕切る壁付近には小さな子が遊ぶスペースが設けられていて、親達は店内を駆けまわる子供を野放しにしなくてすむ。

トイレも自動で電気がつくし(いつものように電気を探してしまい店員さんに教えられた。うちの子も「電気がなーい!」と言って戻ってきた)、手を乾かすドライヤーも設置されているし(これは最新のパラダールには時々ある)。

すごーいなキューバ、いつの間にか日本並みのサービスが導入されている(むちゃくちゃピンポイントだけど・・・)

うちの子は生まれた時からタッチパネルのある時代の子なので、席に着くなりパネルを操作、キューバで日本の回転寿司と同じようにオーダーできると知って大喜び。そしてこそって聞いてきた。

「ねえ、どうやってでてくるの?回ってくる?」

さすがにまだ回転マシーンは導入されていない。

内装はファミレス風?

料理の味はまずまず、正当なキューバ料理。でも人気の秘密はキューバ初のサイバーレストランだからだと知って納得。しばらくは混雑するだろうな。

 

Doña Alicia

住所:Ave.Salvador Allende(Carlos Ⅲ)esq.Padre Varela(Balascoaín), Centro Habana、サグラダ・コラソン教会近く

営業時間:12:00-1:00

お試しあれ・・・ラム酒、葉巻、コーヒーのMaridaje(マリダッへ)

キューバ名物、Ron Tabaco Café. (それぞれスペイン語でロン、タバコ、カフェと発音)=ラム酒、葉巻、コーヒーは世界的にも有名で、そのあまりの素晴らしさから「天国への3ステップ」とも言われるほどです。

Ron, tabaco, cafe ♫…キューバ音楽の歌詞にもよく出てきます。

ラムは砂糖の生成過程でできる糖蜜を使って作られるお酒で、キューバ各地に蒸溜所があり様々な種類のラム酒が生産されています。キューバでお酒といえば何はともあれラム、中でもハバナクラブは世界に名の知れた有名な銘柄です。

葉巻はもともとキューバにいた原住民たちが吸っていたものをスペイン人たちが持ち帰り、ヨーロッパで受け入れられ広まったといわれます。キューバの土と気候がタバコの葉に適していることから良質のタバコ=葉巻が生産され、世界最高級の贅沢な嗜好品が生みだされています。

コーヒーはキューバ人の日常に欠かせない飲み物ですが、こちらはお隣のハイチから入植したフランス人たちによってキューバで広く栽培されるようになったものです。

それぞれキューバの歴史とも深い関わりのある産物であり、キューバを知るため、そしてキューバ人たちと時間を共有し、より深く知り会うために欠かせないものと言えます。

ところでこのラム、葉巻、コーヒーもちろんそれぞれのシチュエーションで別々に楽しむことができますが、本来葉巻の嗜み方としては、これらを組み合わせて味わうのがよし、とされます。

それが、Maridaje(マリダッへ)

英語のMarriageと同じ語源で結婚も意味しますが、調和、組み合わせという意味もあります。同じ意味のフランス語マリアージュは料理などで使うと「相性の良い食べ合わせ」を意味するのを聞いたことがあるのではないでしょうか。要は葉巻だけではなく、ラムやコーヒーと一緒に吸ったほうがより美味しい、というわけです。

ハバナにはこのMaridajeを観光客にレクチャーしてくれ、実際に体験できるところがあります。

コロニアル建物のパティオで優雅なひと時を・・・

まずは、コーヒーを少々。後で葉巻と一緒に飲みたいので全部いってしまわないよう注意。

そしてラム酒。もちろん銘柄はハバナクラブ。蓋を開けたら数滴床に垂らします。これはご先祖様に捧げる仕草とも大地の神に感謝の念を示すためとも言われるのですが、キューバ人がお酒を飲む時、誰もがやる「儀式」です。それから各々のグラスにラムを注ぎ、とりあえず乾杯!そして口の中を湿らせるような感じでラムを味わいます。

キューバ人はどんなラムも基本ストレートで飲む。

それからいよいよ葉巻に火を付けます。国がキューバ産として認定した葉巻には「王冠」と呼ばれるラベルが巻かれていますが、このラベルがある方の端をチョキンと葉巻カッターで切って、反対側に火を付けます。本来の作法からするとマッチやライターで直接火をつけるのはタブー。セドロという種類の木っ端にまずは点火し、この炎で葉巻の先を焦がすようにして火を付けます。そしてゆっくり吸い込む。葉巻は肺まで入れずに、煙を口の中に含みあくまで香りを楽しむものです。

葉巻にも作法あり。

今度はまたラムを一口飲んで、葉巻を吸う。それからコーヒーを飲んで、葉巻。それぞれ違った味わいがあるはず。

シガーバーでもラム酒やコーヒーと一緒に葉巻を。

日本で葉巻を嗜好する方は少なくシガーバーの敷居も高いかもしれませんが、キューバへ来たからには是非とも本場の葉巻をラム酒、コーヒーと一緒にお試しあれ。

料理教室in Cuba キューバの家庭でキューバ料理を習う

キューバを旅行するにあたって、以前は「食事は期待できない」と言われてきました。
実際、私が10数年前初めて滞在した時には、そもそもどこで食事をしていいのかわからない=レストランが見当たらない、食材を買うにも店がない、で、ずーっとお腹を空かせていた記憶があります。
現在も店舗がわかりにくいのは確かですが、それでも観光客の多いエリアではたくさんのパラダル(個人経営レストラン)ができ、客引きも賑やか、美味しい食事を提供してくれます。プリプリのロブスターに新鮮なお魚、おおーなんとタコにイカまで。「さすが島国だけある!」と感心するかもしれませんが、はて一般のキューバの家庭でこれらのものを食べているのか?と思ったら大間違い。

キューバ人にしてみれば、主菜は「肉」でなければならないもの、そう、キューバ人はCarnívoro(肉食)!中でも「豚」、豚肉料理こそがキューバ人にとってのご馳走、家庭の味なのです。このほか、原住民の時代から食べられているという豆類、芋類を多く使った料理が一般的なキューバ料理です。
レストランでもこうしたキューバの家庭料理を試すことができますが、せっかくなら本当にキューバ人の一般家庭で楽しんでみるのもいいでしょう。

まずは街の市場で食材探し、綺麗に洗ってパッキングされてはいませんが旬の野菜が並ぶMercado(市場)は見ているだけでも楽しいもの。お店の人と言葉を交わし、その場で重さを測って「はいお勘定!」地元感満載です。


材料調達が済んだら、一般のお宅の台所へ。

本日のメニューは、
Congrí(コングリ)黒豆の炊き込みご飯
Bistec de Cerdo(ビステキ デ セルド)ポークステーキ
Yuca con mojo(ユカ コン モホ)ユカ芋のニンニクソース
Ensalada de pepino y aguacate(エンサラダ デ ペピーノ イ アグアカテ)きゅうりとアボガドのサラダ
全て定番中の定番、ザ・キューバ料理です。

料理の先生は主婦歴ン年のキューバ人女性、言葉は通じなくても大ぶりのアクションで、手際よく調理をしながら教えてくれます。(実際の教室では通訳がつきレシピのプレゼントもあるので、料理方法の詳細をしっかり学ぶことができます。)


調理器具ももちろん普段彼女が使っているもの。ちょっと切れない包丁、年季の入った鍋、キューバの家庭がぐっと近く感じられるはずです。
途中キューバ料理についてだけでなく、子供やご近所さんのこと、生活事情諸々を話しながらレッスンは進みます。そして料理はいよいよ完成、お楽しみの試食タイム!


キューバの家庭でキューバ料理を習い、そして食べる。食事を一緒にするのはお互いが近づく第一歩でもあり、近づいた証拠でもあります。キューバをもっと知りたい、キューバ人との距離を縮めたい方、
¡Vamos a cocinar juntos ¡ (一緒に料理しましょう!)

オンリーワントラベルではキューバ人家庭で行うキューバ料理教室を提供しています。お気軽にお問い合わせください。