仰天、フィデル・カストロセンター

先日かねてから見学したいと思っていたCentro de Fidel Castro Luz フィデル・カストロセンターを訪れる機会があった。

コロナの影響もあって開館を先延ばしにしていたものが、昨年11月25日フィデルの没後5年の日に公開となった。公開といっても現在のところ誰もが気軽に訪問できる施設というわけではなく、一定の手続きとコネクションなしではまだ見学が難しい。

スペイン語でCuadraとかManzanaという区画1ブロック丸ごとの広大な敷地は、もともと19世紀の裕福層が有したものでメインの施設はその一角にある豪華なコロニアル建物を使っている。その建物はフィデルの生涯とその業績、キューバ革命についてあらゆる角度から展示する資料館と充実した書物を備えた素晴らしい環境の図書館からなっており、ほかにも敷地内にはギャラリー、子供達がゲームをしながらキューバ革命や歴史について学ぶことのできる施設、屋外ミニシアターまで備え、庭はキューバの植生を再現したミニ植物園といった様相だ。

建物外観、立派なコロニアル建物を利用しているがエレベーターも備えたバリアフリー施設
庭の池には、これでもかというほどの金魚が・・・

外からチラ見しても中のゴージャスさは想像できたが、実際に観覧するとすごいを通り越し、すべてが古びていてハイテクとは程遠いアナログ生活が染み付いたキューバの日常とはかけ離れた空間がそこに広がっていた。

「おおっーーー!」

「すごーい!!」

と声をあげながらの広い敷地と膨大な資料の見学には、ほぼ3時間を要した。そんな仰天のフィデル・カストロセンター、見応えは十分すぎるほどで語りきれないのだけれど、何はともあれ写真で少しだけご紹介。

玄関正面、鉄格子の門まで立派
コロニアルな内装そのままの部屋にはフィデルが生前受章したメダルや勲章がずらり
廊下を歩くとセンサーが反応して、フィデルとマルティの言葉が交互に壁に写しだされる
フィデルの生い立ちから一生をパネルで解説、ガイドがタッチパネルを操りながら説明を進めていく
等身大のフィデル
スポーツマンで野球好きは有名
複数の画面を使って、フィデルの生前行った演説をリアルに再現してくれる。壁のフィデル肖像に刻まれた文字は、それらの演説で繰り返し使われた言葉たち
各国で出版されたフィデル関連の本
世界地図を模したパネルにはめ込まれた筒は、フィデルが訪れた国と地域を表す。その筒をテーブル横の穴に差し込むとそれぞれの国でフィデルが行なった活動や思い出の写真が写しだされる。ガイドは気を利かせて日本の筒を見せてくれた
キューバ革命に関連する展示も充実、展示室の中心にはグランマ号の模型

フィデルは遺言で、死後も自らの像を作ったり、その名を施設や道の名前に使ったりといったことを決してしないよう残した。それは法律化され今後も守られていくだろうが、その法を一部改正してまでして作ったフィデル・カストロセンター。唯一無二、フィデルの全てがここにある。