熱帯暴風雨エルサ、キューバ縦断

6月から11月はハリケーンの季節で、キューバが影響を受けやすいのは9月から10月と言われる。去年は例年より多くのハリケーンや熱帯暴風雨が発生したが、今年はそれ以上に多く発生すると予想されハリケーンのあたり年でキューバにも複数上陸する可能性が高いといわれている。果物のあたり年は嬉しいけれど、ハリケーンは全然嬉しくない。その前兆か今年は5月にはハリケーンが発生し始め、7月上旬だというのにキューバでも警戒せねばならないような熱帯低気圧Elsaエルサがやってきた。

ところでカリブ海を含む大西洋北部で発生する最大風速17m以上の熱帯低気圧には、毎年アルファベット順に男女交互の人名によって命名される。日本の台風のようにその年ごとに数字で○号というのはわかりやすくていいが、ハリケーンのように人名というのも、記憶にも残りやすいしなんだか親しみを持ってしまう。もちろん親しくしたくはないけれど・・・今年はアナに始まって5つ目がエルサと某ディズニー映画を思い出したのは私だけじゃないだろう。

まあそれはさておき、そのエルサが今週初めにキューバを縦断した。

Photo by NOAAアメリカ海洋大気庁

キューバの東、ドミニカ共和国やハイチを通過してキューバに接近する直前に一時期カテゴリー1のハリケーンにまで発達したが、キューバ上陸前には再び熱帯暴風雨に勢力を落とした。キューバの東、グランマ州沖でほとんど動かなくなり「おい、いつまでそこにいるんだ?!」と心配させたが、重い腰を上げて少しずつ前進し7月5日朝にシエンフエゴスの西、マタンサス州の南岸ヒロン湾あたりに上陸そのまま北西方向にゆっくり進んで、マタンサス州北岸から抜けていった。

ハバナも警戒地域に当たっていたので、5日正午には公共交通がストップして店や公共機関がすべて閉められた。午後になってもそれほど風が強くなることもなく晴れ間も出ているくらい、それでもどこも開いてないし足もないしで、日が暮れる前から屋外には人影もほとんどなくなってしまった。今回はそれほど勢力の強くない熱帯暴風雨だったにも関わらず、徹底した災害予防対策が取られるあたりはさすがと、いつもながらに感心する。ハバナに最も接近したのは夜中から明け方にかけてだったが、それほど強い雨風を感じることもなく心配していた停電もなく朝を迎えた。テレビのニュースを見ても大きな被害はなかったらしくホッとする。

通過経路にあったマタンサス州などでは相当の雨量があって浸水したところも多かったそう Photo by Granma

こうして今年初めてやってきたハリケーンになりそこないのエルサは、やや控え目な印象をキューバに残して去っていったのだった。

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