この子の十五のお祝いに・・・Quinceキンセ15歳の誕生日

キューバでは誰もが誕生日をとても大事にしていることは少し前に書いた。誕生日といえばちょっとしたパーティーをするのが習慣で、呼ぶ側も呼ばれる側にとっても友達や家族が集まって飲み食いするというキューバ人が大好きなひと時を過ごす格好の口実でもある。だからいくつになっても誕生日は大切なんだろうけれど、子供が成長して大人になる年齢、成人になる年は本人にとっても両親にとっても特別な日。中南米の多くの国では15歳をその区切りの年としてお祝いするところが多い。キューバでも法律上の成人は18歳とされているが、15歳の誕生日を特別に祝う習慣がある。

15=Quinceキンセ

数字の読み方そのままで、年齢だけでなくお祝いイベントそのものも指す。このキンセ、なぜか女の子だけが盛大にお祝いされる。諸説あるようだが、起源は古代メキシコアステカやマヤでは女性は15歳になると大人として結婚(=子供を授かる)することができるとして、数多くある人生の区切りを祝う儀式のひとつを行なったことに由来するというもので、後にカトリックの習慣と結びついて広がったのだとか。パーティーで踊る特別なダンスがあったり、キャンドルの儀式をやったりと国や地域によって祝い方は違うようだけれど、今でも女の子の15歳の誕生日は一生に一度の特別なイベントであることは間違いない。

キューバではかつては招待された若い14組のカップルがワルツ踊ったりなんだりする伝統的な習慣もあったそうだけれど、最近ではそこまですることはほとんどない。一般的なのはまず、いつもより多くの人を招いての誕生日パーティー。自宅ではなく海辺のプール付きのカサパルティクラルやレストランを貸し切って行うこともある。巨大なケーキやお持ち帰り用の甘いお菓子とサラダと揚げ物、飲み物、豚肉料理などの伝統的なキューバ料理・・・このあたりはいつものパーティーメニューと変わらない。主役のQuinceañeraキンセアニェーラ=15歳を迎える女の子は、バルーンで飾られた会場の中へお姫様のように着飾って登場するはずだ。

クラシックカーに乗って photo by Cubadebate

それからこのパーティーに先立ってアルバムを作るのも忘れてはならない。この撮影というのが、ハバナであれば旧市街などのフォトジェニックな場所、緑の多い公園、海沿いの通り、あるいはクラシックカーに乗ってあちこち移動しながら1日がかりでプロのカメラマンが同伴して行われる。途中で衣装をドレスからカジュアルまで取っ替え引っ替えして、化粧直しパシャパシャとシャッターを切られてモデル気分を味わいながらの撮影。本人にとってはこれが一番楽しいキンセの想い出になるんだろうなあと思う。

ハバナの町歩きの途中でも、キンセの撮影によく遭遇する。

それにしても15歳とはいえキューバの女の子は確かにもうしっかり一人前の女性だ。色っぽい眼差しでポーズをとる姿も、出来上がった写真に写る姿もとても中学3年生の女の子とは思えなくて、その早熟さにびっくりする。

こうしたキンセのお祝い、当然のことながらしっかり商売にもなっていて決してお安いものではない。キューバの物不足もあってパーティーの準備をするのも大変だ。それでも親はやっぱり可愛い我が娘のために何年も前からコツコツお金をためてその年に備える、ということをやっている。普通貯金なんて考えもしないし、する余裕がないキューバ人ですら!!

親泣かせのキンセ、娘を持たなかった母は内心ホッとしている・・・

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