キューバの女性

キューバの女性は強い。強過ぎて怖い・・・とすら同性でありながら思う。

キューバ革命でフィデル・カストロが行なった功績として、誰からも批判されることなく高く評価されることのひとつは、女性の解放、地位向上を達成したことではないかと思う。革命以前のキューバ社会は他のラテンアメリカ圏同様マチスモ(男性主義)の傾向が強く、女性は家庭に入るものとされ教育レベルも低かった。そんななか、フィデルは革命運動中から積極的に女性を取り込み、後には制度的に女性の解放、社会進出を可能とする環境を整え、女性が男性と同じように活躍できるような社会を実現させた。

キューバ革命運動に参加した女性としてまず思い浮かぶのは、Celia Sánchezセリア・サンチェス。フィデルが絶対的な信頼を置き、ゲリラ戦に参加したほか部隊への物資支援や外部組織との交渉なども彼女が行なっていたという。写真を見ればわかるが、とにかく美人だ。軍服を着てキリッとした横顔も素敵だが、フェミニンな洋服姿はモデルか女優さんかと思うほど。

チェ・ゲバラとセリア。映画の一場面じゃないかと思うような美男美女。Photo by Cubadebate

それからラウル・カストロ夫人であるVilma Espínビルマ・エスピンは、キューバ女性連合(FMC)の議長を務めて革命後の女性の社会的地位、環境の改善に尽くした。可愛らしく穏やかな笑顔が印象的なこちらも素敵な女性だ。ところでこのキューバ女性連合、全国労働者総連合、大学生連合、革命防衛委員会と並んでキューバの四大社会団体のひとつで14歳以上の女性のほとんど、400万人以上が参加する大組織である。1960年8月23日創立で、毎年この日が近くなるキューバの女性に焦点を当てたニュースや記事が増えるのでFMCとビルマを思い出す。ちなみに私も永住権を獲得してから自動的に加入していて、微々たるものだが年会費を納める一会員。

軍服姿と不釣り合いな愛らしい笑顔のビルマ。FMCのエンブレムには彼女がデザインされている。Photo by Cubadebate

そして今、実際にキューバ社会をみると確かに多くの女性が普通に男性と肩を並べて活躍している。というか場所や組織によっては女性の方が多くのポジションを占めていることも多々ある。国会議員数は、意図的にそうしているんじゃないかと思ったりもするが、女性が半数の50%を少し上回る割合となっていて、一昨年から置かれた各州知事も知事、副知事のどちらかが必ず女性、両方女性の州もあったはずだ。会社や団体でも長のつく職に女性がついていても何の違和感もなく、女医や女性研究者、技術者はあたりまえ。大きな公共事業の現場監督が女性であることも多い。これはそれだけ彼女らが働く環境が整っているということも示す。

ただ子供のための保育所や教育施設が充実しているだけでなく、職場における女性の家庭での役割に対する理解や考え方も日本とは大きく違うように思う。というか、男女関わらず誰もが仕事よりも家庭、家族が大事なので、何か家庭の問題が起きた時には誰もが「そーかそーか、そりゃ心配だ、仕事はいいから行ってやれ」となるし、仕事中に家族から電話がかかってきても優先して話すことを問題視することはない。(実際には、役所の対応が遅れたりしてとても困るのだけど・・・)

女性が社会に出るから、男性も家庭の仕事をそつなくこなす。それでもって家庭の中でも女性は強い。離婚率の高いキューバだが、家を出て行くのは決まって男性の方だ。

コロナと経済危機で大変な物資調達、毎日の行列でも女性が圧倒的に存在感を示して、大声を張りあげる。行列を調整する側も、行列に並んで押し進む側も女性、日々繰り広げられるこの格闘を見ていると、本当にキューバの女性は強い、とゾッとしてしまうのだった。

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