休日の農家訪問

キューバ人はあまり野菜を食べない。海に囲まれた島国なのに魚介よりも肉を好む肉食の人たちだ。普段の食生活で野菜はあくまで付け合わせであったり、スープの具だったり、味付けのための調味料であったりして、野菜をがっつり食べるというのはほとんどない。

それなのにキューバの有機野菜は世界的にも有名だ。

これは1990年代、ソ連崩壊の影響でキューバの経済状態がドン底に落ちたPeriod Especialペリオド・エスペシアル(特別期間)に、燃料、肥料、農薬などあらゆるが不足し、農業のやり方を変えざるを得なかったことによる苦肉の策によるもの。燃料がなくて農機具が使えないから牛馬を使って畑を耕し、肥料は家畜の糞や残飯から作り、農薬はないから使わない、仕方なく無農薬有機農法を取り入れるしかなかったのだ。また輸入に頼らず食料の自給を目的に、街中や都市近郊に小さな農園が登場したのも同じ時期だ。そのお陰で国民の食生活が救われただけでなく、世界的にも有名なオーガニック大国となった。手の掛かる高価な有機野菜をわざわざ探さなくても、キューバ人は安全で美味しい野菜が手に入るしそれを食べるしか選択肢はない。なーんて羨ましい話だ!と思うのにキューバ人は野菜を好んで食べない、残念・・・

セントロハバナにある市場。見た目は悪いけれど美味しい野菜たち

ただ生産調整がうまくできておらず、ハウス栽培もないから、旬のものができただけ出荷されるので、どこへ行っても同じ野菜しかなかったり、当たり前だけど旬のものしか食べられなかったりする。

それに加えてコロナの影響もあってここ数ヶ月野菜の流通も滞り気味で、ハバナでは本当に野菜が手に入りにくい状態が続いていた。だがありがたいことに我が家の近所の歩いて行ける距離に小規模な農園がいくつかあって、直接出向いて野菜を手に入れることができる。交通機関が制限されてあちこち探して買いに行くことができなかった間も、夫がせっせと近所の農家へ通い農家のおじさんと仲良くなってくれたおかげで、新鮮な野菜を食べることができた。

外出規制も緩和された先週の日曜、その農園へ家族みんなで出かけた。今、野菜は少なく畑にあるのはバナナと Habichuelaアビチュエラ(日本でササゲの名で見られる長いインゲン豆の類)ぐらい。畑といっても雑草は生え放題で、一体どれが植えられた野菜の苗なのかわからない状態。その中を夫は自分の仕事と言わんばかりにとっと入っていき、次々にアビチュエラを収穫していく。息子も端っこの方に残っていたものをボチボチ採って楽しむ。

一見、畑とは思えないけれど・・・

隣に植えられていたトマトや他の葉物野菜はまだ収穫にはしばらくかかりそう。キューバでトマトは冬の野菜。11月から3月ぐらいの限られた時期にしか食べられない。

早く大きくなーれトマトたち!

アボガドの林もあるのだけれど、もう収穫されてしまってほとんど実が残っていない。グアバは収穫しきれずに落ちてしまっているものもあって「あー、もったいない!」と夫は嘆きながら木に残ったグアバの実を採っては次々に袋へ入れていく。

以前はなかった苗床を作るためのビニールハウスができていて、中にはピーマン、トマトなどの小さな苗がずらりと並んでいた。コロナ禍始めた我が家の室内農園?!に植えよう、と苗をいくつかもらって帰った。

ハウスの中の様子。苗は他の農家にも売るそうだ。
本日の収穫?バナナは緑のものをフライなどにして食べる食用、オレンジは苦味のある味付け用、アビチュエラ。グアバはすぐにジャムとシロップ漬けにした。

コロニアルな家の裏庭に大きなマンゴーとアボガドの木。木陰にハンモック吊るしてお昼寝。それからバナナ、グアバの木も植えて、少しの野菜も育てましょ。そんな庭のある家に住むのが我が家の夢・・・

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