加速するキューバ人の行列好き?!

コロナ禍、街で見かける行列がより目立つようになった。キューバの行列に関するネタには事欠かないことについて以前書いたことがあるが、ここにきてまた新たな伝説となるような事態が起きている。

キューバの物不足は深刻で、時にはトイレットペーパー、洗剤、サラダ油といった生活必需品がほとんど市場に出回らなくことがあり、その後入荷されると店の前はその品物を求める人の大行列ができるのは、キューバでは毎度おなじみの出来事だ。

それが最近ハバナでは毎日、ありとあらゆるところで大行列を目にするという当たり前の光景となっている。

コロナ感染予防対策で多くの店が閉まっている上、人々の行動範囲は限られているから余計に行列ができやすいというのもあるが、その行列の先にある品物も食料品や衛生用品といったものがほとんどで、入荷状況もより限定されているように思う。ここ1ヶ月に我が家のある団地の店で売られたものといえば、

肉類:鶏肉、ソーセージ類、挽肉(なんの肉だか不明)

野菜類:バナナ、芋類、かぼちゃ、パパイア、マンゴーやグアバなどの果物、アボガド、ナス、ニンニク

その他食品:サラダ油、輸入品のりんご、トマトソース、炭酸飲料、パック入りジュース、ヨーグルト、ツナ缶

衛生用品:トイレットペーパー、洗濯洗剤、消毒液(漂白剤)、デオドラント

このほか配給品として、米、パン、砂糖、塩、豆類、コーヒー、鶏肉、ハム、卵、石鹸、歯磨き粉。

これくらいのものしかなくても、これしかなかったら皆必死に手に入れようとする。その結果「品物がなくても行列ができる」という現象が起きているのだ。

全くもって??!!

だとろうが、つまり「もしかしたら鶏肉が入荷するかもしれないからとりあえず並んで待とう」というわけ。これがエスカレートして、前日の夜から行列ができる事態となってしまった。もちろん全ての人が徹夜するわけでなく、その役割を買って出る人がいて家族や友達のために寝ずの番をする。中には順番を「売って」商売をする輩も出現する。そして、いざ何かが入荷した!となると瞬く間にその情報が伝わり、実際に行列をした人の何十倍という人がそこら中からワサワサとやってきて、物凄い人の列が形成される。どう見ても超密状態である。

店頭での混乱を避けるため、少し離れた公園にてまずは行列形成

この行列を制御するために店の人だけでなく、警察数名と地域の役員(キューバには日本の自治体に似た組織がある)が立ち会って大騒ぎ。警察は全ての人に品物が行き渡るようにするためと転売防止のため、同じ人が続けて同じ商品を購入しないように全員の身分証明書をスキャンして保存、その管理のためのアプリまで今回開発されたそうだ。さらに行列を乱さないようにまず整理券が配られ、これにしたがって順番に店に入って買い物、おひとり様当たりの購入数はもちろん限定。

公園の行列から、10人ずつ整理番号順に店の前へ向かう。なぜかここでは間隔をあけて整列させられる。
本日の整理番号
店内も人数制限。売っているのは本日の入荷商品鶏肉とレジの後ろに並ぶ商品のみ

もうホント、コロナのおかげでキューバの行列に新たなルールが次々に加わって訳がわからない・・・もちろん好きでやってる訳じゃないとわかっている。が、申し訳ないけれど、外国人でモノに不自由なく生きてきた私にはお手上げなので夫に頑張ってもらうしかない。

本日の勝利品「鶏肉」お一人様2袋限定

キューバの物不足の原因は何か?

一番はアメリカの経済封鎖と言わざるを得ない。キューバは革命後、アメリカの制裁を受け続けている。単純にアメリカから製品や原料が入ってこないというだけでなく、原材料をアメリカで調達して他国で生産された品物の輸入、キューバへの送金、キューバへの支援等あらゆるものが制限されている。アメリカがダメなら他の国から、と思ってもキューバを助けようとするとその国がアメリカからの制裁を受けることになってしまうから、それもままならない。また小さな島国であるキューバは資源に恵まれているとは言えないので、自国の産業発展のためには原材料と燃料(原油)を輸入するしかないのだが、同じ理由でありとあらゆる産業の発展が制限される。キューバが特に力を入れ、世界的にも名高い医療分野でも優秀な医師は多く育成されても、最新の機材を導入できない、病院の設備を整えることができない、といったことが起こる。また多くの特許を持つ医薬品も原材料が入手できないため、生産がストップしている製品が数多くある。病院で薬を処方されても薬局で入手できないのは日常茶飯事、自国で生産できるはずの医薬品をなぜかアメリカに住む家族に頼んで送ってもらう、という皮肉な事態が起きる。

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