第60回キューバ野球国内リーグ開幕!

コロナ禍、多くのスポーツイベントが中止・延期になったり形を変えて行われたりしている中、9月12日野球の国内リーグが開幕した。最近ではキューバ野球のレベル低下が懸念され、キューバ人の野球熱も以前ほどではないにしろ、未だに野球はキューバの国技ともいえる国民的スポーツでもあり、このご時世に明るいニュースだ。

キューバ革命以前1940年代のキューバ野球リーグのチームは、アメリカ資本の工場や企業などに属しそれぞれの会社を代表する選手によって構成されていた。それを1959年革命勝利後の1961年、キューバ政府は企業の絡む拝金主義的な考え方を排除して、国の目指す社会主義的思想を基盤としたSerie Nacional de Béisbolセリエナシオナル・デ・ベイスボール=国内野球リーグを新たにスタートさせた。それが現在まで続く国内リーグセリエナシオナル、2020年はちょうど60回目の区切りの年となる。

photo : Granma

そして今年はコロナの影響でいつもと違うシーズン。

まず開幕が1ヶ月ほど遅れた。通常8月上旬にスタートだが今年は9月12日。したがってリーグ日程も多少変更があって、後半の準々決勝、準決勝、決勝リーグ戦の試合数がそれぞれ例年より少なく組まれているようだ。

9月12日〜12月27日 第1次リーグ戦:総当たり各チーム75試合

1月9日〜14日 準々決勝リーグ:第1次リーグ上位8チーム参加

1月17日〜25日 準決勝リーグ:準々決勝上位4チーム参加

1月28日〜2月5日 決勝リーグ

何より大きく違うのは全試合無観客で行われることだろう。球場での観戦もかつての盛り上がりがないとはいえ、ファンとしてはやはりライブでチームと一体となって応援したいところだし、娯楽の少ないキューバではファンでなくとも球場は家族や友達、恋人と出かける格好のお出かけ先となるのに残念。

ハバナチームの本拠地、ラティーノアメリカーノ球場。今のところハバナの感染予防規制のためハバナのチームインダストリアーレスはアウェーでのみの試合

当然、リーグ開催中も感染予防に十分な配慮がとられる。野球関係者だけでなく、チーム担当医や各地の医療機関も感染者の発見や感染者が出た場合の隔離体制を整えて待機しするなど感染防止を徹底するための策がとられる。選手と関係者は全員、移動があるごとに簡易のコロナ検査を受けて感染していないかを確認した上で試合に臨むそうだ。

各チーム、チームカラーやロゴをデザインしたマスクを準備して臨む 
photo: radiobayamo.icrt.cu

選手や関係者は各自、手洗いや道具の消毒、自己健康管理の徹底について責任を持って行うこと、選手はプレイ中以外にマスクを着用、コーチや監督、審判などは試合中通して着用のこと、試合前の整列はなし、ベンチでは選手間の距離をとり、好プレーや得点時にもベンチ内、ベンチ外と問わず選手が集まって喜び合うことはない、歓喜の表現は肘タッチか距離をとっての動作で、などなど。

なんかこれって、真剣にプレイして試合に集中している選手たちに強制できるものなんだろうか?試合中の感情表現までセーブしなきゃならないなんて。お行儀よくプレーするキューバ人選手なんてあまり見たくないような気もするけれど・・・

お馴染みのハイタッチもナシ?! photo: Granma

それから選手たちだけでなく、野球ファンにも感染防止に努めるよう勧告があった。熱狂的ファン達はシーズン中、毎日のように集まって前日の試合を振り返りながら野球談義に精を出す。この「場外」での白熱の仕方が半端なく、大声を張り上げてハタから見ると喧嘩しているかの勢いだ。彼らに対しても集合禁止、おとなしくテレビ観戦するように、というわけだ。確かに彼らは大勢で集まって、顔を近付け、唾をペッペと飛ばしながらバトルするので、たとえコロナでなくても菌を撒き散らしまくりの状態になりかねない。

こうしてコロナ禍、始まったセリエナシオナル。様々な規制のせいでキューバ野球熱がますます冷めてしまうか、それとも外出できずに家庭でTVを見て野球観戦する人が増えて予想外の盛り上がりを見せるか、選手の頑張りと試合内容しだい?!

愛しのトリニダ

トリニダが好きだ。

トリニダはキューバ中部、1514年に創られたキューバでも最も古い都市のひとつで、18〜19世紀植民地時代にはサトウキビ栽培で繁栄し、当時の富豪たちが建てた豪華な建物が街の中心部に残る。これらのトリニダの街並みと現在もサトウキビを栽培し、所々に大規模農場跡が残るロス・インヘニオス渓谷は、世界遺産にも登録されている。

街の中心の広場をのぞむ。赤っぽい瓦屋根がトリニダの建物の特徴

トリニダへ初めて行った時に感じたワクワク感が忘れられない。

旅の途中、そこへ足を踏み入れた瞬間に、「おおっ、これは!」とこの先の経験を期待させる胸騒ぎを感じる場所がある。その直感は多くの場合、間違いはない。

トリニダもそうだった。

そして今でも行くたびに、気分が高揚して仕方ないという特別な場所。

なんでこんなに好きなんだろう?

キューバのコインのデザインにある景色、どの硬貨でしょう?!(答:CUC25セント,2021年1月1日通貨統一により消滅)

街の大きさが丁度いい。トリニダは小さな街だ。中心地は歩いて半日もあれば回れてしまう。街の中心にある教会や広場のほかは特に目玉となるような見所があるわけではないけれど、その街並み丸ごとがとにかく素敵だ。石畳の坂道、コロニアルな建物、その中に自分がいると思うだけで、嬉しくなる。

古都であること。古い街はやっぱりいい。歴史のある街は様々な時代に住み続けてきた人々の思いが重なって、なんというか、街そのものに深みがでる。

トリニダの人。かつての繁栄した時代が街の景色にしっかり感じられるのに、そうした時代の華やかさよりものんびりした印象が強いのは、そこに今暮らす人々の生活が反映されるから。トリニダでの楽しみは、もっぱら地元の人たちとのおしゃべり。知人だけでなく、店の人、街の客引き、馬を引くおじさん、あちこちで足を止めて話し込むうちにあっという間に時間が過ぎる。

カサパルティクラル。トリニダでは絶対にカサへ泊まるべき。築200年、300年というトリニダ独特の平屋でコロニアルな建物に泊まるチャンス。観光客も多いトリニダは質の高いカサがたくさんあって、どこも本当に素敵だ。建物だけではない、カサのオーナーのおもてなしもピカイチなので、片言のスペイン語を覚えて、無理なら身振り手振りでコミュニケーションに挑戦して欲しい。

コロニアル建物に泊まろう!

夢は、いつの日かあの街に暮らすこと。

あー、愛しのトリニダ!