ハチドリ、みーつけた

ハチドリはその名前の通り、蜂のようにブンブンと羽音を立てて飛ぶ。飛ぶ、というか長いくちばしで蝶のように花の蜜を吸うために、ものすごい速さで羽を羽ばたかせてホバリング(空中停止)するのだが、この時にブンブンブンというわけだ。北米南部から中米カリブ海域、南米にかけて生息し、日本には生息しないそうだ。

英語のHummingbirdハミングバードもhum=蜂の羽音からきていて響きも可愛らしい。一方フランス語は直訳すると「ハエ鳥」となるそうで、なんだか残念なネーミング。で、スペイン語ではいくつかあるようだけれど、一般的にはColibríコリブリ。でもここキューバではZunzúnスンスンと呼ぶ。これはやはりズズズーという羽音からきているものだと思うけれど、愛らしい見た目にもピッタリくる。

このハチドリ、キューバではポピュラーな鳥の一種でハバナの街中でも見ることができる。スズメのようにどこにでもいるわけではないが、花の咲く街路樹や庭木にいるのを見かけることがある。とても小さいので一瞬「虫?!」と思うほどだけれど、花の正面でホバリングして、花の中をつっついては次の花へと飛び続ける姿を見ると、思わず「あっー、スンスン(ハチドリ)!」と口に出して言ってしまう。そして急いでスマホを取り出し写真を撮ろうとするのだけれど、あっという間にどこかへ行ってしまう。比較的近くにしばらくいても、いちいち動きが素早いので写真に収めるのは難しい。

だが一度、じーっとしているハチドリに遭遇したことがある。

団地の中にある小さな農園の茂みの中、人の背丈もないようなところで花もないのにホバリングしているハチドリを見つけた。写真、写真とスマホを探しながら見ていると、なんと目線より低いくらいの位置にハチドリの巣と卵を発見、「ちーっちゃ!」

人形の麦わら帽をひっくり返したような巣の中に小指の爪ほどの卵がふたつ。「ごめんね、ママ!」と思いながら巣をつまみ寄せて卵を撮影した。親鳥は巣に触れんとする人間に近づきたくても近づけない、威嚇するように少し離れたところでホバリングを続けている。

卵の写真を撮ってから少し離れると、親は卵を覆うように巣の上に留まった。

キューバにはいくつかの種類のハチドリが生息するそうだが、その中には世界で一番小さい鳥マメハチドリもいる。キューバの固有種なので、キューバにしかいない貴重な鳥だ。体長6cmほど体重なんと2g、1円玉2枚!!卵を抱いていたハチドリの種類はわからないけれど、もう一回り大きく体長8cmぐらいだったので、マメハチドリはさらに小さい。卵もさらに小さいわけで、当然ながら世界で一番小さな鳥類の卵になる。キューバ中央部マタンサス州の南Ciénaga de Zapataシエナガ・デ・サパタは野鳥の宝庫でバードウォッチングでも有名なのだが、その近くの集落でマメハチドリを餌付けしているところがあるそう。知る人ぞ知る、なのかと思ったら観光バスも乗り入れて見学していくそうなので少し興ざめかもしれないけれど、遭遇率100%。どうしてもマメハチドリを見たい人はどうぞ。

木彫りのハチドリ。ちょうど実物大ぐらい。色目や羽、尾の形が少しずつ違うのでお気に入りを見つけてお土産に。

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