キューバのコロナによる規制緩和:観光再開

6月18日にハバナとマタンサスを除く地方の州でコロナ感染予防対策の規制緩和が始まり、7月3日にはハバナも規制緩和開始、第1フェーズへ移行した。同時に地方ではマタンサスを除いて第2フェーズへ移行、徐々に日々の生活が正常へと向かっている。とはいえ、世界中で言われているようにコロナ以前に全てが戻る訳ではなく、コロナ後は新生活様式とやらに従うことになるらしい。これもまだ世界各地でコロナの感染は拡大中で、果たしてどこへどう向かっていくのか誰にも分からず皆で模索しながら、ということだろうけれど。

キューバの場合、社会主義体制をとっていること、保健医療重視で国民の健康生活の保証が第一であることから、経済優先の他の国とは重点事項が異なり、当然これに沿った政策が取られる。これまでのコロナ対策を見てもその特徴には「らしさ」が現れていて、もっと世界的に注目されてもいいのになあ、と思う。

規制緩和も国民を感染病から守ることが何より大事で焦らずゆっくりといった感じになるのだろうが、それでなくてもアメリカの経済封鎖で苦しい国の経済状況(もちろんそれだけではないけれど、やはり影響は大きい)を打開するためにも、主要産業である観光業を可能な限り早くどうにかしたいところだろう。これはコロナで観光ゼロという想像し得なかった状況、そしてこれからも世界の情勢からどうなるかなかなか先の読めない状況からいかに回復するかということであり、自分たちの努力だけでは何ともならない部分も大きいのが辛い。

そんな中、先日発表された内容に沿って第2フェーズに移行した地方では、州を越えた移動が可能となりキューバ人の国内観光が本格化し、さらに外国人観光客の受け入れが始まる。経済面でいえば、直接の外貨獲得手段となる海外からの客が戻ってこなければ話にならない。こちらまずはCayo(カヨ:キューバ本島の周りをとりまく数々の離島群)でのリゾート観光から再開され、北岸のCayo Santa Maríaカヨ・サンタマリア、Cayo Guillermoカヨ・ギジェルモ、Cayo Cocoカヨ・ココなどが対象となる。これらはもともと立地的にも離島の隔離リゾートであるので、最寄りの国際空港へ乗り入れてしまえばキューバの一般国民とは全く接触なしで訪れることができる。今回観光客は直行チャーター便で到着して空港からはホテルへ直行、Cayoカヨ内から出ることは禁じられている。到着時には全員のPCR検査と検温を実施して、ホテルには感染病専門医と看護師を配置、ホテルの従業員は7日間勤務の後、7日間自宅隔離で簡易検査を実施するという徹底ぶりらしい。またこの間キューバ人はこれらのホテルを利用できず、宿泊者数も制限される。すでにいくつかの国や地域を対象にツアーの販売を開始しているそうだけれど、まだ第一便、つまりコロナ後初の外国人観光客がいつ到着するのかは未定とのことだった。これらのリゾート地にリピーターの多いカナダからの客を期待し、チャーター便もカナダの航空会社などを予定している。

この第2フェーズではまだハバナ空港は一般航空便の発着はなく、入国者は在キューバの帰国者に限定される。そのため実質的な国境再開は第3フェーズまで待たねばならない。予定ではこの段階になると、各国からのフライト、一般旅行者がどの空港・港からも入国できるようになり、感染予防措置をとった上ですべての宿泊施設やレストラン、娯楽施設等が再開、州を越えた移動はもちろん旅行会社主催のツアーも催行され、カサパルティクラルの利用も可能となる。ほぼ以前と同じ形でキューバ旅行ができるようになるわけだ。ここまできてやっと観光業の再開と言えるだろう。といっても果たしてコロナ以前のレベルまで観光客が戻ってくるのはいつになるやら、特に個人経営者として観光業に携わっている人たちは、観光客の数が直接生活基盤と関わってくるから深刻だ。

でもキューバ人はきっとへこたれない。ここ1世紀弱で、世代ごとにキューバ革命前、ソ連崩壊後の特別期間とドン底を経験して、今もアメリカの制裁を受けながらも「らしさ」を失わずにやってきたのだから。今回は、観光業がポストコロナの経済的な柱となるべく早期回復して、これまで以上に盛り上がりを期待して。

¡Viva Cuba! ¡Venceremos! キューバ万歳、打ち勝つぞ!

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