ハバナから日帰りリゾート山編−Las Terrazas, Soroa−

のんびりしているとはいえ一国の首都ハバナに住んでいると、たまには都会の喧騒を逃れ自然の中へ行きたくなる。ありがたいことにハバナ市内にいても十分自然を感じられるところはあるのだけど、近年は車の排気ガスによる空気汚染もひどく(車が古いのとガソリンの質が悪いので一層ひどい)、時々キレイな空気を思いっきり深呼吸したい!と思う。そもそも田舎育ち、思えば人生初の首都生活がハバナ。

 

そこで、今回はハバナから日帰りでいける山リゾートLas Terrazas(ラス・テラサス)とSoroa(ソロア)へ行ってきた。キューバのメジャー観光地ランキングでいうとちょっと格は下がるかもしれないが、豊かな自然を満喫できる上、比較的レジャー施設も整っておりキューバ人にも人気のスポット。

 

ラス・テラサスは19世紀初頭、お隣の島国ハイチ独立後にキューバへ移住したフランス人達がコーヒー農園を開拓、この地へ移住したことに始まる。そのため現在でも当時のコーヒー農園跡がいくつか残っていて、見学することもできる。山がちなこの地にテラス状の段々畑を作って開拓したことからその名前がつけられたのだ。

ブエナビスタカフェ農園跡、奴隷たちの住居跡も残る

20世紀初頭になるとコーヒー産業も低迷しそのほかの作物を細々と作りながら農民たちが貧しく暮らしていたそうだが、キューバ革命後、同地域にモデル集落(Nuevo pueblo modelo)が形成され、周囲の住民がここに住まうようになった。それが現在でもラス・テラサスの湖畔にある建物群からなる村だ。

1990年代より観光業が発達するが、豊かな自然を破壊することなく環境保護を重視して開発を進めたことからエコビレッジとしても注目されるようになる。自然と調和した中で創作活動をするため、移住するアーチストも多い。

「マリアさんのカフェ」で美味しいコーヒーを・・・

中でも音楽家Polo Montañez(­-2002ポロ・モンタニェス)が有名で、彼の住んでいた家は現在博物館として公開されている。他にも見学できる画家のアトリエ兼ギャラリーがあったり、美味しいコーヒーの飲めるカフェや手作りの小物や香水を売る店があったり、と緑に囲まれた湖畔の散策は十分にリゾート気分を味わうことができる。ゆっくり滞在するのであれば、周辺でバードウォッチングやトレッキングなどもできるそう。

Las Terrazas 湖畔にあるLester Campaのアトリエ

 

隣にあるソロアもラス・テラサスと一緒に訪れたいところだ。ここもコーヒー農園を営むフランス人の入植により開拓されそうだが、国内有数の多雨地帯で豊かな森とそこに生息する多種多様な蘭が有名。ここで必ず訪れたい場所のひとつがラン園で400種類ほどの蘭を栽培し、一部展示している。そしてキューバに移住した日本人園芸家竹内憲司氏が一時、蘭の研究資料整理にあたっていたというから、日本人としてもとても興味深いところ。

様々な種類の蘭

ほかにも鬱蒼とした林の中の山道を歩いて行った中にあるSalto de Arco Iris(アルコイリス滝)という清涼感溢れる滝を見に行くのもいい。

ソロアの滝。水に入ることもできるが、山の水はいつも冷たい。

またこの滝の入り口脇へ入って行くと、山の頂上に展望台がある。歩いても行けるが、今回は馬に乗って行ってみた。途中、ガイドのお兄ちゃんが、

「あの山の頂まで行くぞ!」

とえらく上の方にある岩場を指差す。

「嘘だ」

と思って軽くかわしたのだが、本当にそこが最終目的地の展望台だった。

馬に乗って頂上を目指す。途中にも絶景ポイントあり。

キューバ、ちょっと田舎に行くと馬や馬車がまだ普通に市民の足だったりするのだけれど、観光で乗馬できるところも多くここ数年で乗馬歴がぐっと増えた。でもこれほどの坂道で乗ったことはなく緊張感と冒険気分がグーンと上昇、そして頂上からの360度絶景に

「おお〜!」

この乗馬でゆくソロア展望台、なかなかのオススメ。

 

森の匂い、湖畔のほどよい湿気、滝音、見晴らしの良い山の上ですーっと深呼吸。ハバナから日帰りリゾート満喫、久しぶりに自然を五感で感じた気がした。

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