キューバには歴史上の人物の肖像や記念碑が多くありますが、有名であっても日本人にはあまり馴染みのない人物もいます。その人物について少しでも知っていると、より理解が深まり旅行を楽しむことができます。そこで、今回は特にキューバで代表的な人物「ホセ・マルティ」についてご紹介します。

キューバというと革命を成し遂げたフィデル・カストロやチェ・ゲバラがとても有名ですが、このホセ・マルティも現在のキューバを語る上で欠かせない重要な人物の一人です。キューバの首都ハバナにある国際空港の名前になっているだけでなく、街を歩いていると彼の記念碑や彼の名を冠した学校、通り、公園などを多く見かけます。

 

1853年スペイン人の両親のもとホセ・フリアン・マルティ・ペレスはキューバのハバナで生まれました。学校では詩人で独立運動家であったラファエル・マリア・メンディベという人物に教わり、ここでの教育が後の彼の思想に大きな影響を与えたとされます。1868年スペインからの独立を求めてキューバ国内で第一次独立戦争が始まると、当時15歳であった彼は風刺雑誌等の編集に参加し、独立運動家たちと交流をもちました。その結果、捕まることになり最終的にはスペインに送られました。

キューバから追放された後はスペインの大学で学び、フランス、メキシコ、アメリカなど各地を転々としながら執筆活動を続けました。彼は詩人であり、独立運動家でもありました。各国で文学活動や仕事をしましたが、キューバ独立の思いを捨てきれなかった彼は1892年ニューヨークでキューバ革命党を結成し、1895年には第二次独立戦争を開始しました。しかし、同年、前線で凶弾に倒れ、独立達成を前に42歳で亡くなります。

 

(革命広場のホセ・マルティ記念館)     (パルケ・セントラルにある肖像)

マルティは米国の軍国主義がラテンアメリカにも及び、その支配下になることを懸念していました。彼の死後、米国が第二次独立戦争へ介入することで、キューバはスペインからの独立を果たしますが、実質的に米国の支配下になりました。皮肉にもマルティの懸念は現実のものとなってしまったのです。しかし、彼の思想はその後に起きるキューバ革命の立役者たちに大きな影響を与え、革命後は米国の支配からも離れてキューバは完全な独立を果たします。

彼の思想、文学は現在まで受け継がれており、キューバでは英雄として称えられています。ハバナを代表する公園パルケ・セントラルにある肖像、革命広場にそびえ立つ大きな彼の肖像からも、彼がキューバを代表する英雄であることが良く分かります。

ホセ・マルティに関する場所はキューバ各地にたくさんあります。キューバを旅行される際は彼にまつわる場所を訪れ、現在のキューバを作り上げるのに貢献した英雄に思いを馳せてみるのもいいいかもしれません。