旅の荷造りはいつも旅行前夜で、ほぼ徹夜になってしまう。仕事中こつこつメモしておいた持ち物リストを見ながら詰めていく。 途中ガイドブックを見たり、ネットで情報を調べたり、イケメンのラテン男性を妄想したり、何度も手が止まって、眠ったのは朝方。
 それでも次の日は、朝早く目が覚めてしまった。夕方羽田発の飛行機なので、帰宅ラッシュにかち合わないよう早めに家を出た。チェックインを済ませ、いよいよ搭乗!母親が少し心配そうな顔で「気を付けてね。」と手を振った。喫煙者の父親は、にこにこしながら「葉巻よろしくね。」とお小遣いをくれた。「いってきま~す。」と元気に手を降り、出国ゲートに向かう。機内の中は日本人が多く、ホッとした。

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 トロントに向かう機内では、地図を見たり行きたい場所を入念にチェック。前日、興奮して眠れなかったせいかいつの間にか寝てしまい、目が覚めた頃にはトロントに到着するところだった。飛行機を降り、ハバナ行きに乗り換え、予定通り3時間半程でハバナに到着。ツーリストカードとパスポートを提出し、スムーズに入国できた。荷物がなかなか出てこず少し焦ったが、1時間近くしてようやく荷物を受け取れた。ドキドキしながら、沢山の人で溢れかえったゲートの入り口へ向かう。
 「Ms. Nakashima」と書かれたボードを懸命に探す。あ、あった! ちょっと恥ずかしかったが「Hola!」と声をかけると、「Emi?」と優しそうなおじさんが聞き返し、荷物を持ってくれた。早速両替をしたかったので、機内で予習した「カデカ」という言葉を連発してみる。カデカとは、両替所を意味する。おじさん は、「Ok」と言って空港の外にある両替所に連れていってくれた。
 キューバの紙幣はカラフルだ。旅行会社の担当者に教えてもらった通り、両替に小銭も混ぜてもらった。トイレを使用する際に小銭が必要らしい。 タクシーに乗り込み、今夜のカサに向かう。カサとは、民泊のこと。着いた頃には、午前12時を過ぎていた。中から恰幅のよい女性が出てきて、 優しい笑みを浮かべ荷物を受取り、部屋に案内してくれた。玄関に入り、天井の高いコロニアル調の居間を通りすぎる。カラフルな色使いでとっても可愛らしい。

カサのリビングルーム

カサのリビングルーム

 部屋に向かう途中、女性は言葉も分からない私におかまいなく一生懸命語りかけてきたので、私は思わず笑顔になった。「ブレックファー スト?ナインOK?」と聞かれ、「Si.」と返事をすると、鍵の使い方を教えてくれ、部屋から出て行った。 部屋はこじんまりとしているが、清潔感があり綺麗にベッドメイキングされている。明日ゆっくり写真でも撮ろう。次の日のハバナ観光に備え、すぐに眠りにつくことにした。