世界どこの国に行ってもだいたい存在する中華街ですが、もれなくキューバにもあります。今回は他の国とは雰囲気が異なるキューバの中華街についてご紹介したいと思います。

中華街は首都ハバナにありますが、少し分かりづらい場所に位置しています。ハバナを訪れたら必ず一度は目にするであろう旧国会議事堂、そこに隣接するDragones(ドラゴネス)という名前の通りがあります。そのDragones通りがはじまる場所に「華人街」と記された大きな門があります。そこから少し歩くと中華街です。

日本で中華街というと中国人が経営する中華料理店やお土産屋が多く軒を連ね、観光客で賑わっているイメージですが、ハバナの中華街はそれとは大きく異なります。
というのも、現在この地区にはそれほど中国人が住んでおらず、歩いていてもほとんどキューバ人しか見かけないので、中国の要素はあまり感じられません。それにはキューバの歴史が関わっています。

(Zanja通り沿いにある孔子像)

キューバに最初にやってきた中国人は1840年代末、奴隷貿易の衰退に伴って生じた労働力不足を補うために中国からやってきた労働者だと言われています。その後、1920年からの10年間でハバナの中華街はラテンアメリカで最も大きいアジア人地区になり、洗濯屋、薬局、劇場などが開店し街は賑わいました。
しかし、1959年にキューバ革命が起きると、1960年代に多くの中国人たちがアメリカに移住するためにキューバを去りました。彼らはお金を稼ぐために中国からやってきたので、社会主義化してしまっては富を得られないと判断したのでしょう。その後、中国人がいなくなったことでかつての賑わいは失われました。1990年代からは、その観光的側面を考慮してキューバ政府によって中華街への資金投資が始められたそうです。

このような歴史があって現在は多くのお店はありませんが、中華料理を食べるのであればCuchillo(クチージョ)通りに行ってみてください。狭い通りに中華料理店が何軒か集まっていて、中国人ではなくキューバ人が店前で客引きをしています。「中国城」と書かれた入り口が目印です。ちなみにクチージョは、日本語で「ナイフ」という意味です。

 
観光スポットとしては物足りないかもしれませんが、孔子の像があったり、よく見ると通りの名前が中国語で書かれていたりと、各所に中国が垣間見えて面白いです。(ほとんど)中国人のいない中華街、近くに行かれた際はぜひ訪れてみてください。